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初等教育巻頭言

新潟県小学校長会長 加藤誠雄 「五官」で学べる環境づくりを
新潟県小学校長会
会長 加藤誠雄

 この3月。学年末を迎え、「総合的な学習の時間」で継続して取り組んできた朝市販売の最終回を終えて学校へ戻ってきた3年生のA子が、こうつぶやいていた。
 「4年生になったら、青田川の活動が始まるのかな。できれば、もうちょっと朝市を続けたいなあ。でも、4年生が川の活動で守っていかないと、青田川が汚い川になっちゃうしなあ。」
 継続的に朝市とかかわり、五官を駆使して豊かに学んできたA子は、これまでの活動に対する自分なりのこだわりをもちながらも、また次の活動に思いを馳せ、期待や見通しをもって取り組もうとしているのだ。豊かな体験活動は、子どもの心を耕し、感性を磨き、確かなエネルギーとして子どもの中に蓄積していくのだと改めて感じた。
 一人の人間の成長、発達の過程は、人類の進化の歴史と重なるものであり、人間として調和のとれた成長のためには、進化の過程と同じ経験をさせる必要があると主張する説がある。
 水の中で生活し、やがて陸に上がり、四つ足での歩行を経て徐々に直立歩行ができるようになっていく。手が自由に使えるようになることで、周りの自然や事物と直接触れ、これとかかわりながら様々な発見をしていく。やがて道具を使えるようになることで、狩猟生活が始まり、農耕を覚え、それを基盤として商工業を興し、近代社会を形成していく。
 こうした人類の進化の歴史は、確かに、一人の人間の成長と重なる気がする。
 母親の羊水の中で成長し、生まれてやがてハイハイをするようになり、今度は立ち上がり、2本足で歩く。手を使うことで、自然や道具、そして周りの人と五官で思い切りかかわりながら、知恵を身に付け、成長していく。
 子どもから豊かな体験の場が失われ、いきなりゲームやネットなどのバーチャルな世界に遭遇してしまうことが、様々な心の問題を引き起こしていると指摘され続けている。また、ある講演で実例として次のような話を聞いたことがある。生後7か月からワンセット30万円以上する教育ビデオセットを買って毎日6時間ずつ子どもに見せ続けた母親がいたが、その子は2歳半で病院へかかった。目はうつろ、表情がなく言葉も出ない状態であった。
 豊かな体験活動と確かな言語活動の重要性は、現行学習指導要領においても強調されている。とりわけ幼児期から小学校段階の子どもたちには、五官を駆使して身の回りの「もの」や「こと」にかかわり、感性を磨きながら、生きてはたらく知恵を身に付けていく過程を十分に保障してやる、そうした環境を整えたいものだと思う。
 それぞれの地域の実態や家庭の実情を踏まえつつも、学校、家庭、地域が、こうした豊かな環境となれるよう、手を携えて少しずつ努力を積み重ねていく、そのためのメッセージの発信役や各々をつなぐコーディネーター役を務めることも、校長の役割の一つではないかと考える。

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