平成22年10月に七浦小学校は、創立137周年を迎えた。佐渡島内では、江戸時代から金銀の採掘で知られる相川地区の相川小学校と並んで、最も古い伝統と歴史をもつ学校である。学制が発布された明治5年、その翌年に橘地域に痒舎(仮小屋)が建てられ、教師1名、児童61名で開校している。以来、地域の公教育の母校として、幾多の人材を世に送り出してきた。平成12年4月3日には、米郷、二見地区を学区とする二見小学校と統合し、相川町立七浦小学校となり、平成16年3月3日には、平成の大合併で、佐渡市も10か市町村が1市となり、佐渡市立七浦小学校として現在に至っている。現在の学区は、橘、稲鯨、米郷、二見の4集落から成っている。4集落は海岸沿いに約6キロメートルに渡り、細長く連なっている。
変化の激しい時代ではあるが、この時代でこそ、個性と創造性豊かな子供たちを育てていくために、様々な体験活動や「本物との出会い」を通して、子供たちがもっている知識や精神に一層の磨きをかけていきたい。保護者とは、「我が母校」という支援と協力を惜しまない関係を構築していきたい。
1 郷土を愛する子供の育成
1年生から4年生までは、地域の産業や文化を調べ、豊かな体験静動を教育活動に取り入れている。また、5・6年生は、佐渡固有の自然、歴史、文化に学ぶ「佐渡学」を学習している。一方、特設の「民謡クラブ」においては、祖父母の代から唄われてきた地域の民謡「七浦甚句」の伝承活動に、年間を通して取り組んている。地域の方々を指導者として招き、三味線、太鼓や唄を教えていただき、運動会や夏祭り、文化祭や相川地区芸能祭などで披露している。
異年齢集団のよさを生かしたボランティア活動としては、当校はJRC(青少年赤十字)に加盟をしており、七浦海岸の長手岬海岸清掃や花の栽培による美化活動を実施し、下学年への優しさや上学年を敬う心を育てるとともに、郷土の白然を愛する心情を育てている。
2 豊かな心を持つ子供の育成
当校の隣接地域に老人福祉施設「愛広苑」と「おおうらの里」がある。子供たちは毎年その施設を訪問し、地域のおじいさん、おばあさんとの触れ合い活動を行ってきている。さらに、視覚や聴覚に障害をもっている方との出会いを通して理解を深めたり、人間の尊厳に気付かせたりして、豊かな心の育成を図っている。
また、飼育栽培活動の一環として、畑での野菜づくり、全校縦割り班でのプランターに花の苗や球根を植える活動をしている。また、にわとりや熱帯魚・金魚等の飼育を行い、生命を大切にする心情や豊かな心を育む活動を行っている。
3 感性教育の推進
今日、テレビゲーム、携帯電話等、バーチャルなものに影響される青少年が多い。そんな中で、当校ではバーチャルとは正反対の「本物との出会い」を意図的に教育活動に組み入れている。新潟市の専門家による本物の読み聞かせ、ソプラノ歌手コンサート、本物の舞台芸術鑑賞などがそれである。子供たちの五感はみずみずしい。この純粋無垢な時期に、本物に接する意義は大きい。年間を通してこの感性教育を推進し、児童・保護者・地域の人が一体となって心を拓く機会としている。
最後に、「学校は地域の太陽」である。学校を地域のプラットホーム(離合集散場所)に、そして、もう一つは学校を地域の生涯学習センターとして位置付けていく。学校を開放して、時間を保護者・地域の人と共有化する。学校を開くことは、地域・保護者が学校を核にして、学び合う場所となる。そうするためにも、常に学校の営みが見え、支援を惜しまない関係になるよう努力をしていきたい。 |