1 はじめに
国道49号線を福島方面に走り、白崎橋を渡ると、道路脇に三川小学校と三川中学校と併記された体育館が見えてくる。三川小学校は東蒲原郡阿賀町にあり、旧三川村全体を学区としている。全校児童のほとんどがスクールバスでの通学である。
平成17年4月、心豊かな人間形成を基盤に「確かな学力の定着」と「中1ギャップの解消」を方針として、同一校舎内での小中連携がスタートした。1階と2階は小学生、3階は中学生、小・中の職員室や管理職は別々である。現在、三川小児童115名、三川中生徒62名が在籍している。
2 推進のための組織
小中連携教育を推進するために、小中連携教育推進委員会を設け、その中に、教務部を中心とする調整部(校時表や日程等の調整)、研究部を中心とする学習部(乗り入れ授業や交換授業の調整)、生徒指導部(情報交換等)、交流部(合同行事の計画等)、部活動などがある。各部での話し合いを受け、連携できる所は、小中が一緒に活動している。
3 児童と生徒間交流の実際
当校では、年度当初の合同全校朝会、9月の運動会と10月の文化祭などの合同行事や年6回程度行われる合同昼休み、2学期からの交流学習・乗り入れ授業などがある。児童の安全・
安心の面から行われる小中合同避難訓練も年2回実施している。
夏休みが終わると小中合同運動会の練習が始まる。小学生の種目の時に中学生が出発、決勝審判や用具係を行い、中学生の自主的な行動が小学生の良いモデルとなる。そのようなふれあいが練習の中にある。当日は、地域ごとのテントが張られ、保護者を始め、多くの地域の方が参加して行われる。
文化祭は、小中合同で開会式を行い、それぞれの作品の紹介を行う。同一校舎内で、1階から3階までの間に、小学校1年生から中学校3年生までの図工・美術、書写、家庭科の作品が展示されている。9年間の児童生徒の育ちを見ることができる。
さらに、三川中学校では、合唱組曲「阿賀野川」を歌いつぐ会がある。昭和42年の水害の悲しさを乗り越え、三川の自然を歌い上げた4部の合唱組曲である。その伝統ある会に小学校の6年生が一部分参加する。「来年からは君たちもこの仲間に入って歌うんだよ。」との意味が込められている。
授業時間の違いや特別教室の利用時間など、調整しなければならない事項はあるが、できる部分の交流を進めている。
4 教師同士の相互理解
同じ校舎で生活していると、中学校の生徒指導や部活動の苦労が空気として伝わってくる。中学校の先生方が生徒に対する時は大変なエネルギーを必要とすることが分かる。また逆に、中学校の先生は、小学校の教室の廊下を通る時、小学校の授業や児童に対する指導を見て、その丁寧な準備や粘り強い指導を感じている。そのような相互理解の上で、小学校段階での指導、中学校での指導がどうあればよいかを話し合うことは、意義あるものであり、児童生徒の指導へフィードバックされる。互いの授業を参観し合うことはもちろん、家庭学習やメディアコントロールについても同一歩調で取り組んでいる。
9年間を見通した教育が一歩ずつ進んでいる。
5 おわりに
小中連携を効果的に進めていくためには、小中独自の教育活動を重視しつつ、教育目標の具現に向けて無理なく活動を吟味していくことが必要だ。今後も小中連携教育推進委員会を窓口として、中学校との連携調整を密にした協同体制を大切にしていく。 |