1 保・小併設の校舎環境
新井南小学校は、長野県境に位置しています。平成10年度から平成17年度の間に、6つの小規模校が漸次統合してできた学校です。統合に合わせ、平成15年に、保育園・小学校併設の校舎ができました。
校舎に入ると、吹き抜けの明るく開放的な玄関があります。
中央に階段があり、踊り場から左右に分かれます。左へ行くと保育園、右へ行くと小学校の空間です。玄関の上の階にはランチルームがあり、保・小の共有スペースになっています。時間差はありますが、園児と児童は、ここで一緒に給食を食べます。このように、斬新な設計による校舎は、保・小連携を進めやすい教育環境になっています。
2 4つの視点による保・小連携
「幼児教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について(報告)」では、「幼児教育と児童期の教育が円滑に接続し、教育の連続性・一貫性を確保すること」の重要性を指摘しています。本校では平成25年度から教育環境を生かしつつ、4つの視点から、保・小連携の課題に対応した教育を進めています。
(1)接続期カリキュラムの策定・実施 (2)職員の保・小相互の参観・協議による幼児教育・児童教育の理解の深化 (3)保育園から小学校へと一貫性のある目標の設定と共有 (4)保・小交流活動・合同行事の年間計画の策定と実践
これらの取組の中から、接続期カリキュラムについて紹介します。
3 接続期カリキュラムの編成
1つは保育園の5歳児の10月から卒園までの期間に行うアプローチカリキュラムです。小学校生活につなぐために、午睡をなくしました。さらに、個の自由遊びから友達と相談して工夫し合う集団的遊びに重点を置くようにしました。2つ目は、小学校への入学から3週目までのスタートカリキュラムです。編成するにあたり、次のような特性をもたせました。
◇生活リズムを創る「おはようタイム」
1時間目は固定的な時間枠として「おはようタイム」を設定しました。この時間は、遊び的要素を十分含んだ活動を展開し、小学校生活への滑らかな接続を図るよう意図しました。リズムに合わせた手遊び、交流ゲーム等をするとともに、校長、教頭、養護教諭、主事、管理員等の職員が日替わりで1年教室を訪れて交流し、「ヒト」の環境に慣れる活動を仕組みました。
◇物的環境に親しむ「学校探検」
人的な環境とともに物的な環境が変わることは、1年生にとって大きなギャップになります。そこで、教務室や理科室等の学校施設の学校探検を行い、新しい環境への興味・期待感を育てています。
同時に、施設の目的や使用ルール等を学ぶ機会にしています。
◇自覚的な学びに導く「学習探険」
保育園で遊びを通した「学びの芽生え」から教科学習による「自覚的な学び」への移行を図るため、学習探険を実施しています。これは、上級生の教科学習に参加し、楽しさを味わわせながら導入を図る活動です。4年生の国語での学習探険では、音読の活動を一緒に行いました。教室での振り返りで1年生は、
「自分もあんなに長い文を上手に読めるようになりたい」と学習への意欲を高めました。同時に、スタートカリキュラムへの全校による支援体制が整いました。 |