1 はじめに
巻機山や金城山など四季折々に美しい姿を見せる山々に囲まれ、今も豊かな自然を残す五十沢地域のほぼ中央に位置する本校は、平成23年度、2校を統合して新設校として開校した。
保護者、地域住民には、規模拡大に対する不安が残る中、子どもたちは、新しい校舎で、増えた友達と共に暮らす環境を大きな喜びとした。その喜びをエネルギーにして、地域から寄せられた願いを言葉に表した教育目標「ふるさとを愛し命かがやかせ生きる子」の具現に力を尽くしている。
2 「言葉の力」を育む授業づくり
子どもが自らを成長させ、その成長を自覚し、自分らしさを輝かせながら生きていくためには、考えを言葉で整理し表現する、適切な言葉で他者に働きかける、自身の成長を言葉にすることで実感するなど、「言葉の力」を子ども一人一人の中に育むことが欠かせないという思いに至った。
また、「もっと進んで学習するようになってほしい」という保護者の声が多く寄せられた。
これを機に、県小教研国語科研究指定校、NIE新聞活用実践委嘱校の指定を重ねて受けた。
そこで、言葉の力と学ぶ意欲の向上を目指して、国語科「書くこと」における「分かる達成感のある授業づくり」に取り組むこととした。
昨年度は、国語科「書くこと」における新聞活用についての実践を公開。今年度は、去る11 月14 日に県小教研国語科研究大会を開催し、子どもに付いた力に対する評価を多くの参会者から得るとともに、授業づくりについても貴重な示唆をいただいた。年度末には一定の成果をまとめたい。
3 「言葉の力」を育む日常活動
授業づくりとともに、言葉の力を育む日常活動を工夫して行っている。
とりわけ、昨年度の取組を継続して新聞活用実践に力を注いでいる。6年生の「新聞交換ノート」と「新聞に広く投書して自分の考えを伝えよう」の取組は、日常活動と国語科「書くこと」とを関連させて行うものであり、子どもが自分の主張をより効果的に伝える「書き方」を身に付けるとともに、書くことで考える力を伸ばす価値ある実践となっている。
先に紹介した研究大会においてもこの取組を公開し、「書く力が付いている」と高い評価を得ることができた。
4 小中のつながり
既存の中学校校舎と廊下をつないで小学校校舎が建設された。小中で共有する特別教室もあり、子どもも教職員も気軽に行き来できる好環境である。
その利点を生かし、「自立への基礎づくり」をキーワードに、「小中のつながり」について考え試行している。
校門では、毎朝、中学生が小学生を迎えて「おはようハイタッチ」を行う、小学校鼓笛隊に中学校の吹奏楽部員が指導に来るなど、自然なつながりを大切にしている。
とりわけ学力向上においては、授業におけるユニバーサルデザイン、書く活動の重視、「五けじめ」(学習の約束)の徹底を中核に、方向性を揃えることで、9年間を見通した学力向上の取組に対して協働しようとする意識を高めている。
5 おわりに
学校づくりの土台を築くことに教職員一丸となって取り組んできた。
今後は、子どもの姿と保護者、地域住民、教職員の願いや期待について、再度丁寧にとらえることで課題とその解決策を見直し、組織の活性化と協働を促進しながら、教育目標の具現と地域の宝としての学校づくりに着実に向かいたいと考えている。 |