1 はじめに
5年生は、例年妙高青少年自然の家で一泊二日の自然体験教室を実施してきた。昨年は二日間とも雨に見舞われ、しかも、最大収容者数であったことも重なり、思うような活動ができなかった。このことをきっかけとして、ねらいから見直し、宿泊先も検討し直した。
2 総合的な学習をより深めるために
総合的な学習で農業を取り上げることから、小千谷の米作りを探求する学習と絡めて、繰り返しかかわることができることをねらいとし、『一人一人が自己肯定感を高め、郷土への愛着や誇りをもつ』機会とすることとした。
このねらいにふさわしい候補先を探しているときに、市農林課が進める市内の農家に宿泊し、農作業をする「教育体験旅行」事業の話を聞き、早速申し込んだ。その際、連泊して1回で完結させる方式が提案されたが、春の田植えから秋の稲刈りまでを繰り返しかかわる中で、春と秋の2回宿泊する内容への変更を了解してもらった。
3 農家に民泊体験
5月、子どもたちは、学校から11キロの道を歩いて、中山間地の若栃集落に行き、日頃見慣れた風景と違う棚田での田植え体験をした後、1家庭3人程度になるように分宿して、そこの家族と交流を深めた。100年以上経った大黒柱・高い天井・大板戸・士間などのある自分の家にはない構造の家での宿泊は、違いを「よさ」と受け止めるきっかけになった。仏間に寝かせてもらったが、初めての経験で怖くて、家の人と一縮に寝かせてもらった子、囲炉裏の火がたまらなく好きなり、いつまでも家の人と話をし続けた子どもたちなど、それぞれの家ごとで交流する姿があった。
その後、月1回程度の割で稲の成長の様子を見に行ったり、農家の方に来ていただいて話を聞く機会を設けたりした。中には、休みの日や夏休みに、家族と、一緒に稲の様子を見に行ったり、宿泊先の家庭を訪れたりして、主体的に交流を深める姿も見られた。
10月、再び稲刈り体験と宿泊体験のために訪れた。ほとんどが、同じ家庭に宿泊することができたり、初めての家庭でも前回の経験を生かすことができ、すぐに打ち解けて、手伝いを申し出たりするなど民泊ならではの姿が見られた。
4 おわりに
年間を通して繰り返しかかわる中で、家族や学校以外の人たちから、自分がしていることを認め、喜び、笑い、褒めてくれる家族のような人ができたという体験は、地元の農家への民泊ならではの貴重な体験となった。 |