新学習指導要領の実施に向けて、新たに付け加えられた学習内容や理念に多くの関心と準備が費やされて、全面実施を迎えるに至っています。
一方、いじめや不登校など、子どもたちの生徒指導上の諸問題の根源的な解決も、どの学校においても重要な課題で、学力向上以上に緊急性が高いかもしれません。
私は、子どもたちの豊かな人間性と社会性を育むために、教科学習も重要ですが、それ以上に特別活動をもっと重要視してほしいと思っています。土曜日の週休日扱い以降、時数確保と教科学習内容の確実な履修が最優先された結果、特別活動がある意味で「餌食」となり、すっかり活動内容が萎縮、形式化した感があります。
人とのかかわり方やコミュニケーション能力の不足が、望ましい人間関係づくりの阻害要因の大きな一つだと思いますが、人とのかかわりは、実際の生活や活動を通して培っていくものです。したがって、ベースとなるのは、学級や学年です。いきなり「全校縦割班活動」であるはずがありません。
また、人とのかかわり方は、ソーシャルスキルトレーニングや構成的グループエンカウンター等の指導だけで身につきません。学級集団の実態を把握するために、Q・U 調査を行っても、子どもたちの実際の活動に生きる形で実施しなければ、大きな価値があるとは言えません。
私は今年度の目指す教育活動として「子どもたちの自主性を生かした活力ある活動」を掲げました。
その実現に向けて、「子どもにとって、どんな意味や意義があるか」という点を常に意識することを職員に話しました。
子どもたちの自主性を重視すると、時間や手間がかかります。教師の計画に沿ったものであれば、効率的であり、期待するねらいも達成しやすいかもしれませんが、それでは本末転倒と言わざるをえません。
かつての「学級会における話し合い」「子どもたちが企画運営する学級集会活動」等は、進め方が廃れてしまうと、復活していくには大変な労力が必要です。意見の異なる者との協調や寛容の必要性は、実際の具体的場面でこそ顕在化してきます。「賛否を安易に多数決で」「テレビ番組を真似たイベントを」では、次の時代を担う子どもたちを責任をもって教育したことにはならないと思っています。
大学で「学級経営」に関する講座が極めてぜい弱な中で、学級担任をさける傾向が若い教師に増えています。学級づくりの楽しさこそ、教師冥利に尽きることだと思います。 |