1 はじめに
当校は今年度、創立三十周年を迎える。従来の教育活動に周年行事の意味合いを加え、地域をあげて記念事業に取り組んでいる。その中で、昨年度、記念事業の中の記念品の制作について、次の二点を大切にしたいと考えた。
○「ふるさと広神」への誇りと愛着が生まれる活動を
○全校児童と地域住民が…緒に創り上げていく活動を
そこで、生活科と総合的な学習の時間を活用し、学年の発達を踏まえて、広神の白然や文化、歴史や人などを調べる体験活動を展開し、それを記念事業の記念晶として「広神検定ブック」にまとめる活動を構想した。
2 地域の素材を生かした学年テーマの設定
広神は白然豊かな中山間地であり、体験活動の素材も豊富にある。この地域の教育資源は、これまでも教科等の中で十分に活用してきた。これまでの取組を整理し、「広神検定ブック」の構想に合わせて、次のように学年のテーマを設定し、児童の体験、調査活動を進めた。
1年生…学校の施設や学校で働く人々等に関すること
2年生…学校の周りの白然や施設、お店等に関すること
3年生…地域の自然や動植物に関すること
4年生…地域の川や環境に関すること
5年生…稲作や魚沼産コシヒカリ等に関すること
6年生…地域の歴史や文化、入物等に関すること
3 「為すことによって学ぶ」体験活動の推進
白然環境に恵まれた広神においても、放課後や休日に外で遊ぶ児童の姿はほとんど見られない。素材は身近に豊富にあっても、地域での体験不足は明らかである。しかし、「広神検定ブック」という目標を設定したことにより、どの学年も、児童の主体的で実感を伴った体験活動がたくさん生まれた。
「知識や情報を、歩いて、見て確かめる」「疑問を地域の人に聞いてみる」「実際に食べてみる」「多様な方法で調べる」「事象の意味を考える」などの活動が多く見られた。学習の成果はクイズ形式で表現し、地域からの応募と合わせて500間のクイズからなる「広神検定ブック」が完成し、記念誌と共に、地域全戸に配布した。
4 おわりに
教育活動に地域を舞台とする価値ある体験を位置付けることは、児童の学びの質を高め、ふるさとを大切にする心の育成につながる。教師白身が地域を歩いて地域を知り、地域の人とのネットワークを築いて、地域の人材を積極的に活用することの大切さを確認することができた。 |