1 三重苦の現状と課題
子どもに運動に親しみをもたせたい。そのためにも環境を整えたい。そこで、汗にまみれ、泥にまみれて思い切り体を動かさせたい。これが、校長としての素朴な願いである。しかし、現実はそんなに甘くはない。
現任校は、グラウンドが極めて狭く、変形で四角いスペースが確保しづらい。その上、場所が狭いためか、体を動かしている子どもが極めて少ない。ある日の業間休み時間、グラウンド、体育館で遊んでいる子どもは100 人、全校の4分の1であった。そして、体を動かしている子どもたちは、グラウンドや体育館で、かなりの確率でトラブルを起こしてしまう現実があった。
これらの課題を解消すべく、教職員の共通理解のもと一丸となって取り組んでいる。
2 「遊び」の重視
校地は、子どもたちが活動できるスペースに限りがあることから、体力つくりの基盤を「遊び」に置くことにした。
○狭いスペースの克服
当校の校地に隣接する一角に、杉林と池がある。この私有地をお借りして、林間のアスレチックコース(ドリームパーク)を、父親応援団等の協力を得て開設した。
○ 運動不足の克服
毎週水曜日の昼休み1時間、学級や全校縦割り班等で、思い切り遊ばせる。ドリームパークは、杉林の中に、坂あり、崖あり、池ありと大変変化に富んだコースになっている。そこで行われる鬼ごっこは、結構ハードなものになっている。ツルを使っての崖登り、崖下り、時には泥だらけになって、全身運動を展開する。安全確保も兼ねて、教職員にもドリームパークに入り込んでもらって、共に汗している。
○人間関係のトラブルの克服
ドリームパークでの遊びは、①運動の苦手な子への見方が変わる。②運動の苦手な子から学ぶことを知る。③友達を知るとともに自分を知る。④集団で遊びながら楽しむという意識が育つ。等々コミュニケーションづくりに役立ち、トラブルの未然防止につながっている。
当校の教育理念は、一人一人のかがやきづくりである。この活動を通して、子ども一人一人の自己肯定感を高めることができた。そして、生涯スポーツに取り組んでいく下地に不可欠な、子ども同士の「遊びを通して学び合う関係づくり」を作り上げつつある。 |