1 はじめに
人が集まるいかなるところであっても、人間関係が良好であれば居心地のいい場所になる。しかし一旦、関係がこじれると、重い気持ちが心にのし掛かってくる。そのため、個々の「心を耕し、育てる」ことは、豊かな人間関係づくりにおいて、最も重要な課題である。
2 豊かな体験を通した、人間関係づくり
人と関わり、一緒に物事をやり通すことが苦手な現代の子どもである。一つの活動を他者と共に行うことは、お互いに教え合い、認め合い、助け合うことにより、人と人が関わりをもち、仲良くする大切さを知ることができる。
当校では、地域の産業の中心である田植えと稲刈り体験活動を、絶好の人間関係づくりの場として位置付けている。1 年生から6 年生で編成した縦割り班で実施する。年長者は経験を生かし、下学年に作業を伝える。下学年はアドバイスを受けながら、仲間と協力し合う姿がある。
場当たり的な体験活動ではなく、内容をよく吟味し、その体験が人間環境づくり、仲間づくりに確実に有効であるかを見極める必要がある。そして、可能な限り多種多様な活動を体験させる。それにより、人間関係における数々な場面で柔軟に対応できる耐性が育つ。
3 地域や家庭と連携した心の育成
心の耕しは、学校教育だけでは十分とは言えない。地域や家庭、学校が連携・協力し合い、子どもの姿をよく見守り、共に実践することが重要である。「地域の子どもは、地域で育てる」三者が一体となって心の育成を行う。
行事の時だけに限らず、常日頃からことあるごとに地域の方や祖父母、保護者が学校へ気軽に来られるように計画し、出席を呼び掛けている。校区の人々が子どもと顔見知りなり、どの子にも分け隔てなく挨拶や声掛けのできる環境づくり進めるよう努めている。
他者と交流を図り、コミュニケーション能力を育てることは、一人一人の心を育て、子ども自身を成長させる上で大きな役割を占める。そこで、交流を深めるための意図的な活動を設定し、人間関係の構築に努める。また、地域や家庭から得た情報等を参考にし、活動に生かしていく。
4 おわりに
子どもにとって、「学校が楽しい」と思えるには、絶えず向き合い、関わる教師が心豊かでなければならない。それに、地域・家庭の教育力も重要な鍵を握る。そのための研修の充実を地域ぐるみで図っていかねばならない。 |