学校は組織体であり、多様な個性や特性をもった職員が協働して取り組み、目標達成に向かって機能することで、その力を発揮できる。学校の教育力には様々な要素が考えられるが、職員の資質・指導力と組織としての協働力、チーム力が重要である。そのためには、校長としての確固たる理念、職員の意識改革と体制づくりが鍵となる。
1 人権教育、同和教育を中核にした学校運営
当校では、知・徳・体のバランスのとれた児童の育成を目指し、プロジェクトチームを組織し、職員の主体性や参画意識を高め、教育課程改善につなげようとしている。しかし、学力向上等の課題を解決するためには、学級などの集団の中に、児童同士の人間関係が築かれていなくては困難が伴う。子供たちが安心して自分の考えや気持ちを伝え合い、集団の中で自分が受け入れてもらっているという人間関係が成立していることで、授業で学ぶ楽しさを実感したり、意欲的に学校生活を送ったりすることができる。
「自分もみんなも明るくうれしくよかったね」は、当校の職員と児童の合い言葉である。ここには、互いに思いやり高め合うことで、自分だけでなくみんなも大切にし、共に生きていこうという願いが込められている。こうした互いを尊重する人権教育、同和教育を中核にした学校運営が、様々な教育活動のより所となり、学校の教育力向上に結び付くと考えている。
2 職員の意識改革と体制づくり
年度当初、学校経営方針の説明で人権教育、同和教育の重要性を職員に説き、グランドデザインにも明示した。人権教育、同和教育に取り組むことの意義を、新任者も含め職員一人一人に意識してほしかったためである。
人権教育、同和教育の推進や体制づくりには中核となる加配教員を活用する。4月当初の校内研修会では真っ先に同和教育を取り上げる。当校の今までの取組の説明、人間関係を築く学級づくり、同和教育の視点からの道徳授業の一斉公開など年間推進予定が示され、人権教育、同和教育を意識した日々の教育実践と年間を見通した計画的な取組が促される。
一方、加配教員を中心に、懸念される学年・学級への支援やフレキシブルな対応ができるように体制を整えている。また、問題を抱える児童への個別指導や徹底した家庭訪問など、組織として対応するようにしている。
毎年3学期には、ゲストティチャーと共に創る同和教育を公開しているが、児童が徐々に変容する姿を見ることができ、職員全体で手応えを感じている。 |