初等教育110号で前・青葉台小学校長・大滝純雄氏が述べているように、道徳教育充実のための校長の役割と責任はますます大きくなっている。大滝氏は、「経営方針に道徳を」という視点を私たちに示している。その中で私が強く引き付けられた言葉は、「具体性は不十分」と「呼び掛け」であった。自分の経営の反省と改善の視点と重なっていたからである。
1 道徳教育推進体制の充実
「指導要領解説道徳編」では、校長の責務として、「道徳教育の基本的な方針等を明示する必要がある」と示されている。そして、「道徳教育推進教師」は、校長のリーダーシップの下、その方針に従って中心的にその推進に当たるとも示されている。「基本的な方針等を明示」した後は、具体的にどのようにリーダーシップを発揮するのか。ここが道徳教育推進体制充実の大きなポイントである。一例であるが、当校では知育プロジェクトチームに教頭を道徳教育推進教師として位置付けた。学校教育全体を視野に入れている立場の教頭の力を生かすことで体制の充実を図ることができると考えたためである。
2 隠れたカリキュラムへの注視
最近耳にすることがなくなったヒドンカリキュラムのことである。前述の指導体制を充実させ、指導計画・授業の改善などを進めていく中で、決しておろそかにしてはならないものが、学校内の人的物的環境の整備である。ありたい学校の具現に向けて、日ごろの校長の「呼び掛け」と「実践」がポイントとなる。児童と教師が、「ありたい学校」のイメージを共有し、具現に向けて実践するために果たすべき校長のリーダーシップは大変重要である。自校の道徳的課題をヒドンカリキュラムの視点からも見直すことが必要である。
「(略)結局のところ、道徳教育の充実は、学校全体としてどれだけ熱心に取り組むか、校長先生のリーダーシップと先生方の意識にかかっていると言えるでしょう。」ある教育関係の書籍に書かれていたことである。
道徳教育充実のためのポイントは沢山ある。自校の課題を明確にし、焦点化して全校体制で取り組む学校づくりのために、くどいようであるが校長のリーダーシップの発揮が強く求められているのである。
道徳教育が歩んできた経緯を考えた時、表題の言葉が浮かんだ。自省を込めて書かせていただいた。 |