当校は、校内研究として、子どもに育みたい資質・能力を、「探究力」「情報活用能力」「コミュニケーション能力」「創造性」「共生的な態度」の5つに整理し、教育課程を、「生活・総合」「数理」「ことば」「創造・表現」「ふれあい」の5領域で編成して実施している。
研究を進めるに当たり、日常の教育活動の中から見られた「『5つの資質・能力』を発揮している子どもの姿」を、気付いた教職員がその都度付箋に書き、模造紙に貼り付けていくという手法を取り入れている。会議室に常時掲示されている5枚の模造紙には、5つの領域名がタイトルとして付けられ、その各々は、次の縦軸、横軸によって30 のマス目に区切られている。
縦軸:「1学年」「2学年」「3学年」「4学年」「5学年」「6学年」
横軸:「探究力」「情報活用能力」「コミュニケーション能力」「創造性」「共生的な態度」
付箋は、退勤時、空き時間等ちょっとした時間に各自が自由に記述し貼っていくことになっており、その各々には、次のような簡単なメモが記されている。
【生活・総合】
「ヤギさんたちの一番好きな草は本当にヨモギなのか?という問いをもち、図鑑で草の名前を調べたり、実際に実験して調べたりする姿が大勢見られた。」(1年:探究力の欄に)
【数理】
「『星は動かない』という意見に対し、『そしたら、いつも同じ星しか見えない』『星座早見の意味がなくなる』という反論が出て、意見交換が続いていった。」(4年:探究力、コミュニケーション能力、二つの欄に貼られていた。)
この付箋が積み重なった時期を見計らって、貼られた付箋の内容を整理・分析し、率直な意見交換をすることで、子どもの姿から、資質・能力の発揮される場面やそれを促す手立てを探り、研究の推進を図ることとしている。この手法は、2学期になって始めた試みであるが、研究推進に寄与するだけでなく、職員個々の研究への参画意識を高め、更には子どもを見取る力量の向上にもつながっているという手応えを感じることができている。
現在、どの学校でも学校評価の取組が熱心に行われている。当校でも、年間を見通したPDCAのサイクルによる学校評価の取組を行っている。しかし、そうした比較的長いスパンのシステマティックな取組の一方で、教職員が、日常的なかかわりの中で見取った具体的な子どもの姿を意味付け、更なる手立てを積み重ねていく過程を重視した学校運営をしたいと思っている。PDCAのサイクルは、日常の実践をもとにして毎日回るのであり、それがスパイラルのように積み重なってこそ、授業改善、学校改善の取組として機能していくものであると考えるからである。今はまだ、貼る余地を残している各々のマス目に、いつか貼り切れないほどの付箋が重なり、それを整理することで見えてくる子どもの変容、研究の成果を今から楽しみにしている。
PDCAは日常的に繰り返されるサイクルである。 |