今回の改訂で、学習指導要領の総則に、「家庭との連携を図りながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。」と明記された。
家庭との連携や児童の学習習慣の確立は、これまで、どの学校でも取り組んできていることである。分かる授業、できる授業に努め、児童の学習意欲を高める、毎日宿題を課して点検する、自学ノートを奨励する、家庭学習のためのガイド冊子を配付し活用を促す、保護者に説明し理解と協力を得る等々である。
このような取組がある中で、改めて「家庭との連携」、「児童の学習習慣の確立」という具体策レベルで配慮事項が示されたのである。それは、即ち、確かな学力を育むため、家庭との連携による学習習慣の確立が必要であることを確認し、その実現に努めなければならないということである。
新学習指導要領が全面実施となり、間もなく1年となる。各学校では、児童の学習習慣はどのように確立されているだろうか。
昨年度の10月、自校では、学力向上を中心とする教育活動の説明会、家庭学習の習慣化の推進をテーマとしたシンポジウムによる教育フォーラムを実施した。児童の学習習慣の確立について、学校と保護者がその価値を共有し、実態を踏まえた上で方策を確認し合い、納得して取り組むためである。
PTA 役員とともに検討を重ね、テーマは、「こうすれば子どもは家庭でも勉強する」、シンポジストは幼、小、中の職員、保護者、同窓会代表の5人とした。コーディネーターは教頭が務め、シンポジウム後は、7~8人程度の少人数グループ内での情報交換、アンケートによる意見収集を行った。
その中で、学習習慣を身に付けさせるため、勉強は楽しいという意識をもたせる、自学の大切さを親と学校が一緒になって教え続けたい、規則正しい生活をさせる、学年×10分を基本に、親が子どもの道しるべになる、自学の習慣化には家庭内での指導が一番大事等の指摘がなされ、学習習慣の確立に向けた望ましい方策や構えを確認することができた。しかし、参加率は10数パーセントと予想を大きく下回り、非常に厳しい実態も明らかになった。
秋田県では、40年前、学力が全国で40番であったことに県民が強い危機感をもち、以降、一丸となって学力向上に努めてきたそうである。近年は、全国学力・学習状況調査でトップの成績を維持しているが、その理由の一つとして、家庭学習ノートによる学習習慣の確立が挙げられている。
この取組で注目すべきは、担任と保護者が、日々、家庭学習ノート上で展開される児童の学習に根気強くかかわり、自学を認め、励まし続けていることである。また、長い取組の中でそれが当たり前に行われ、今は、親としての喜びや張り合いにもなっているという点である。
秋田県の取組は一朝一夕にできることではない。しかし、担任と保護者の決意と根気、かかわりの中で味わう喜びや張り合いも含め、学習習慣確立の要諦として学び、保護者と共に自校の取組に生かそうと努める日々である。 |