校長は教育者であり経営者である。この二つの側面から校長力を分析したいと思う。知識基盤社会化、グローバル化する変貌急な現代社会の中で、校長に求められる能力は、多様であり、しかも複合的である。しかし、私は次の二つの校長力を大切にして校長として生きたいと考える。
1 学校文化の象徴として生きる
校長は学校文化の象徴である。学校は校長の文化レベルによって規定されるといってよい。もちろん学校には歴史があり、地域があり、校長だけでつくられるものではない。しかし、その時代に生きている保護者、地域の人々の願いと職員の資質能力と財政的基盤を統括し、一つの学校としてつくりあげる責任は間違いなく校長にある。だからこそ、我々は学校づくりの最高責任者として生きねばならない。その仕事の在り方と校長としての生き方そのものが学校文化の象徴的存在なんだと思う。恐れ多いことだが今上天皇陛下が日本国の象徴であることと同義として、校長は学校文化の象徴である。
全校朝会で児童に話すこと、保護者に話すること、地域の集まりで語ること、職員に指示すること、多様なたよりの文章等々、常に行政、保護者、地域の人々、児童に、その文化の深さと高さを示さねばならない。厳しい。極めて厳しいことであるが、選んだ道である。
2 環境のデザイナーとして働く
校長は経営者として、多様な環境のデザインをすることが大きな使命の一つである。
(1) ミッションステートメントの提示
経営者として、まず自分の学校がいかなる学校として存在していくのかをミッションステートメント(使命の声明・経営方針)として職員に明確に示さねばならない。そこには、自分の学校の働き方、いわば流儀を示す必要がある。4 月の初めに昨年の教育ビジョンを上書き保存したものを示したままで終わってはならない。明確で簡潔な経営方針をあらゆる機会を通して職員の中に徹底させ、自分たちで誇れる学校をつくりたいという職員の気持ちとして具現化することが必要である。
(2) 職場環境、地域と学校の環境等のデザイン
職場環境のデザインに着手する。職員の資質能力・意欲等は実に多様である。しかし、教育課題に取り組む中で、職員同士が錬磨し合い、互いに支え合い、成長していける幸福感のある職場環境をデザインする必要がある。教頭はそのデザインの元に働くことになる。特に大切なのは「認知」と「評価」である。教員評価制度を活用しながらも、一人一人の職員の働きが職員全体の中で認知され評価される環境を作り出すことは、学校経営者にとって決定的である。その他にも教育課程編成・実施と評価・改善に至るサイクルのデザイン、地域と学校の環境を巡るデザイン等々、校長のデザイン力は学校経営の要諦である。
校長とは厳しい仕事だが、やりがいと希望にあふれている仕事といえませんか。 |