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初等教育巻頭言

新潟県小学校長会 会長 吉田隆 日本型教育と校長像

新潟県小学校長会
会長 吉田 隆

 近年、日本型教育が諸外国から注目を浴びている。特に、ASEANやアフリカ諸国など経済成長が著しい新興国への「輸出」が顕著である。ちなみにエジプトでは、特別活動を中心に日本型教育を導入し(35か校で実施)学級会や日直、清掃活動などを通して、子どもたちの自発性・協調性の伸長を図っている。また、運動会などの行事や授業研究の様式を導入した国も数多くある。
 働き方改革の流れの中で、日本では行事の削減が進められ、運動会を半日日程にする学校も出てきた。形式に陥った活動は見直しが必要だが、効率のみが目的となった時、日本の教育の良さや強みを捨て去る結果を生むかもしれない。
 働き方改革の目的について当時の文科大臣は次のメッセージを発信している。「世界からも評価の高い我が国の学校教育を持続可能なものとし、教師が子供たちの指導に使命感を持って専念できるように~中略~働き方改革を強力に推進することが必要です。」働き方改革の目的の第一義は、日本型教育を持続可能にすることなのである。
 しかし、単なる持続は後退・衰退につながる。時代の変化に応じ進化が必要である。では、どのような点で改善が求められるのか。OECDのシュライヒャー局長の発言がヒントとなる。局長は2018年に実施された「国際教員指導環境調査」の結果を受けて、日本の教育課程について、「批判的思考を促す」ことの重要性を提言。知識の習得だけでなく「決まっていること、当たり前かもしれないことに疑問をもてる」「創造的な考え方ができる」ことを重点に置いた指導を促した。一斉一律から自立的、協同的で、個別最適化された学びを提供できる日本型教育への進化が求められる。今、日本の学校現場は、この目的達成と働き方改革を両立させるという一見相反する問題に直面している。
 この難題の解決のために、我々校長も進化しなければならない。新しい時代の学校づくりを推進できる新しい時代の校長像の確立である。
 少し歴史をさかのぼって校長像を考えてみたい。日本の校長像は、古くはヨーロッパ型の職人集団(ギルド)の親方的校長像であった。1960年代頃から行政機関の末端の位置付けの校長へと変化し、近年は企業経営モデルに近いアメリカのマネージャー型の校長像へと変化している。長短両面あるが、行きすぎた企業論理は、学校と家庭との関係を「共に子どもを育て合う関係」から「サービスの提供者と受益者」の関係へと変容させる恐れがある。すでに、その傾向は表れており、学校への過度な要求が教員の多忙化にもつながっている。
 私見だが、日本型校長像は、アメリカ型の経営哲学を用いながらも、ヨーロッパ型の職人集団の親方的姿勢が必要と考える。そのような校長像が日本型教育との親和性が高く、我が国の教育の持続発展につながるのではないだろうか。
 変化の激しい未来社会をたくましく生きる子どもを育てるために、校長自身が目的を見失うことなく、当たり前を疑いながら、創造的な学校運営を進めなければならない。その際、全人教育を行う日本型教育にふさわしく、子どもたちや職員と温かな人間関係を結べる親方でありたい。

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