全国学力・学習状況調査の結果が伝わり、それぞれの学校で分析が進み、授業改善やカリキュラムの工夫を進めていることと思います。言うまでもなく、自校の学力を向上させることは、学校の大切な仕事であり、校長の責務です。
さて、調査結果を分析する際、マイナスの結果に目が行きがちですが、プラス、つまり 〝強み〟にも目を向けていくことが必要だと思っています。
全国でも、新潟県でも、比較的プラスの結果を出していると感じているのが、児童質問紙の「地域や社会をよくするために何かしてみたいと思いますか」の項目です。令和6年度の新潟県の結果は、「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」を合わせて、86%と、高い値を出しました。これは、全国と比較しても3ポイント近く高く、昨年度の新潟県と比較しても4ポイント近くアップしています。私たちの学校教育が、より良い社会の創り手としての自覚を子どもに促しているのだと考えています。ところで、子どもたちは、どのような未来を思い描いて「何かしてみたい」と思っているのでしょうか。
同じような質問をしている調査があります。18歳前後の若者を対象にした日本財団の「18歳意識調査」です。そこにも「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」の問いがあります。文言が違うので、直接的に比較することはできませんが、結果は、残念ながら46%と、それほどではありません。他国(米・英・中・韓・印)の若者も同時に調査しているのですが、残念ながら日本は最下位に甘んじています。18歳というと、6年生からみれば、わずか6年後の姿なのですから気になります。目指す未来を見失ってしまったのでしょうか。
学校に勤める者は、誰しもが目の前の子どもの幸せを願っています。と同時に、この子どもたちに、現代社会の様々な課題を解決し、よりよい社会を築いてほしいと期待しています。ここまで書いて「何を他人ごとのように言っているのか」「子どもに丸投げになっていないか」と、その無責任さに気付き、「せめて今、思い描ける未来を示すことくらいしなければ」と考えを改めました。
私たち校長の描く未来が、子どもを導いていくと考えています。学校の教育活動は、校長の描く未来に向けて構想されます。そうすることにより間接的ではありますが、その未来を子どもに示すことになります。ですから、私たち校長は、夢のある未来を具体的に描き切らないといけないと思うのです。くり返しになりますが、未来のマイナスや課題のみを予想するのではなく、夢のある未来を思い描くことが、大切だと考えています。夢のある未来なら、6年たっても子どもは、見失わないはずです。
もちろん、校長一人で考え抜くわけではありません。様々な資料や言説から、また、職員や仲間と語り合う中から見えてくることがあるかもしれません。しかし、最後は、校長の価値観と良心とで目指す未来を決めなければなりません。
未来を描き、それによって学校が変わり、子どもが成長し、その未来が実現したとすれば、校長が未来を変えたことになります。大袈裟かもしれませんが、校長は、未来を変えられるのです。校長には、未来を創る権限があるのです。
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