全国学力・学習状況調査結果を分析したある大学の「学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」によると、保護者の収入や学歴などの社会経済的背景と子どもの学力は相関関係にあることを指摘している。そんな中で、学校の要因により成績を伸ばすことができている学校があるという。いわゆる「効果的な学校」である。
この「効果的な学校」の取組に注目したい。例えば、「活用力を見る問題」で成果を上げている学校は、授業研究の充実を基盤に、「教科を超えた研究授業をし、教員は協力し支え合う意識が高い」「発展的な学習より基礎基本の定着を重視している」などの特徴があるという。一見平凡な感じもするが、校長としての感覚で、「教師集団として機能している学校」「学校として一貫した考えの下、取組を進めている学校」と言い直してみると、校長の学校経営の一端が見えてくる。更に、私には、教師集団がつくり出す磨き合い高め合うというある種の学校文化が創造されているのではないかと感じられる。
私も、授業研究を学校づくりの中核に位置付け、提案性のある授業公開、そして、検討会となるよう取り組んできた。教師間のコミュニケーションや価値観の共有が進んでいく手応えを少しずつ感じてはいるが、まだまだ、求める子ども像や教師個々の学力観の違いを乗り越えていこうとする気概は見られない。どこの学校でも同じような状況ではないだろうか。
しかし、今の時代であるからこそ、校長は、教職員と協働して学校文化の創造という共通の目標に向かって取り組むことが求められている。「効果的な学校」の構築は、校長の使命であることを肝に銘じなければならない。 |