新学習指導要領改訂の基本方針は、次の3点である。
① 教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ、「生きる力」を育成すること。
② 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること。
③ 道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成すること。
新学習指導要領に沿った教育課程を編成する上で、この改訂の基本方針の理解は欠かせない。改訂の基本方針をしっかりと念頭に置き、児童の実態(課題)と照らし合わせながら進む方向を指し示すのが校長の役割である。
私は、次のことに取り組んだ上で、新学習指導要領完全実施の年を迎えることにした。
1 目標の明確化グランドデザインの全面改訂
新学習指導要領に沿った教育活動の展開には、目指す方向を端的に示したキーワードが必要であると考えた。私は、学力の向上をはじめとした当校における教育課題克服のキーワードを「意欲的な子どもの育成」ととらえ、職員に示した。これは、改訂の基本方針と児童の実態とを照らし合わせ、様々な教育活動を想起して導き出したものである。
したがって、当校の職員は、「言語活動の充実」といった学習指導要領改訂のキーワードを教育活動の中で具現化させる際にも、自分の提案する教育活動が「意欲的な子ども」に結び付いていくかどうかを考えなければならない。
以上のようなことを考え、グランドデザインを全面的に描き直すことで目標の明確化を図った。
2 ビジョンを明確にした教育活動の展開
学習指導要領の改訂は、教育活動見直しの好機である。教育効果が薄いと思われるものや職員が価値を見いだせないものは廃止することにした。逆に、「意欲的な子どもの育成」のために必要な活動を新設することにした。
たとえば、豊かな心の育成のために、核となる活動を新設した。誰かのために自分にできることを主体的にやろうという活動である。教師は児童が変容していく姿を思い描きながら活動の参考例を示していく。そして、人のために何かすることの価値を自覚させ、意欲を高めていく。
大切なことは、その活動の先にある児童の姿を思い描き、明確なビジョンをもつことである。
新学習指導要領完全実施の本年度、児童の変容の姿と教師の指導力の向上を楽しみにする一方、校長として示した方向が正しかったのかどうか自分に厳しく確認していきたい。 |