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提言
新しい鉛筆とノートが知識技能の壁を越える
小千谷・和泉小学校

 GIGAスクール構想により、一気にICT教育が加速した年でした。ノートと鉛筆が学校を変えたと言われる明治以来の出来事ではないでしょうか。わずか数か月で、児童が机上で端末を操作している光景が日常となりました。

1 Information & Communication Technology

 文科白書では、「ICT」は「情報通信技術」と訳されます。一方、大辞泉では「コミュニケーション」について、「情報の伝達、連絡、通信の意だけではなく、意思の疎通、心の通じ合いという意でも使われる」と補説があります。現に学校では、端末は【調べ学習・コンテンツ視聴・ドリル等の個別学習のツール】であるとともに、【個の特性に応じた表現方法の多様化と、共有の一斉化・即時化を可能にするツール】して期待されています。ある意味、「新しい鉛筆とノート」が誕生したということでしょう。私は、今春異動し、ICT教育推進委員長として当市の学習ソフト選定に関わりました。現場のニーズは、正にこの二つの機能両方の充実でした。夏休みに急遽、市内一斉研修を行い、九月運用開始。現在、すごい勢いで活用が広がっています。

2 個別最適化され創造性を育むICT環境に向けて
(令和元年、文科大臣のメッセージから引用)
 ところで、私の研究教科は音楽です。音楽表現の特性は、一定の技能の獲得が必要なことです。技能が学習の壁になることもあります。「音楽づくり(創作)」でも、創った音楽を意図通りに再生できなければ、評価し合えません。
 最近、複数の市の教員研修会等で「プログラミングアプリによる音楽づくり」を紹介してきました。その学習では、演奏は端末がしてくれるので、学習者に演奏技能は求められません。どの児童も感性や思考・判断だけで、マイ音楽を創る学習を進められるのです。対話活動は、見直しや評価の契機となります。知識や技能は、さらなる追究や、リアルに演奏したい時に必要となります。創造性が育まれやすくなると実感しています。

3 新しい鉛筆とノートを使って
 子どもたちが出ていく社会は、知識量は必要でなく、協働して互いの考えを表現し、それを受け止め合って、考えを深めるような学習が支えになっていくでしょう。端末はその学習を促すツールであることは間違いありません。
 各教科で活用方法を図ってほしいと願います。大学の作曲の恩師が退官前に語ってくれた言葉が忘れられません。
「会社で協力してモノをつくるように、音楽も皆で力を合わせて音楽を創る教科になっていくんじゃないかな。」

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