GIGAスクール構想の実現に向けて、一人一台端末、高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備が進んでいる。自治体毎に若干の差はあるものの、学校のICT環境は着実に整ってきている。とは言え、設備さえ整えばICTを活用した教育が自動的に充実したものとして実現する、というわけではない。
環境整備が先行し、教育活動が後手に回る状況がある。これをなんとか克服したい。GIGAスクール構想元年と言われる今年度、心がけてきたことを二つ紹介する。
1 教師間、学級間格差を是正する
教職員の中には、ICT機器に関する知識・技能に長けた者、そうでもない者、むしろ苦手意識の強い者と多様である。一方で、児童生徒はその大半が、タブレットの使用については興味津々である。
同じ学校でありながら「先生、どうして二組はいっぱいタブレットで勉強するのに、私たちは、あんまりやらないの?」という子どもの声は、なんとしても回避したい。
当校では、夏休みにICT研修と称して、校内の授業におけるICT活用事例交流を行った。長けた者から、全体にノウハウや教育的効果を伝達することにより、夏休み以降少しずつ、ICT活用が広がっていった。
私たちは全て準備が整ってから取りかかりたいと考えがちだ。それを待たずに、まず始める、まず使わせてみる、そこからルールや効果を確認していく。不具合や新発見があれば、日々アップデートしていく。これで行こうと教職員に話をした。
2 鉛筆で書く 書きながら考える
ある学会で最近耳にした話である。
「子どもたちが自分の意見をタブレットに打ち込み、それを学級全体で集約、共有するという局面がある。子どもたちはフリック入力で自分の考えを文章化し、アップロードしてくるが、示された文章には随分軽薄な印象をもつ。ところが、同じ子どもたちに鉛筆で記入を求めると、しっかりとした考えを書いてくる子どもが多い。どうも、出力の方法と子どもの思考には何らかの相関があるようだ。」
ICTの活用が有効な場面と、別の方法の方がより充実するという場面がある。それを教師が見極めることが大切であると教職員に話をした。
「これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。」正にこれである。 |