眼下に広がる町並と海岸は美しい。海抜31mに建つ校舎は、普通に考えれば安全である。3.11の教訓は、安全神話を覆した。日本海側にも、M8以上の地震、30mの大津波、原子力発電所の事故、大きな土砂崩れが起こるかもしれない。想定外の事故をなくし、被害を最小限にとどめる。児童の生命を守るため、学校総合防災計画を見直し、特に津波対策を強化してきている。
1 確率で命のやりとりはしない
事故の起こる確率は、十万分の一だから安全という考え方と、もし起きたら危険という考え方がある。原子力発電所や防潮堤の事故は、前者の考え方が強い。皮肉にも事故は起き、現実は後者の結果となった。命の安全は、絶対譲ることができない条件と決めている。
2 より高く丘陵を上がる
奥尻、秋田沖の津波は、地震後すぐ到達し、地形によっては30m以上の高さに達した。もし、佐渡海峡で津波が増幅された場合、警報を上回る津波が到達する恐れがあると考えられる。通学路の各避難場所は海抜20m以上で3分以内で避難できる。しかし、避難訓練では、更に丘陵を上がるように指導している。
3 まわりと意思疎通を図る
地域関係者による津波を中心にした防災会議がある。港湾施設、魚市場、浜茶屋は海抜が低い。避難場所の中で、ライフラインがとれるのは、学校を含めて少ない。店舗従業員、観光客をどのように分散させるか。遊泳中の人にどのように知らせるか。ピーク時、海岸には約5万人がいる。円滑に避難誘導する方法を協議中である。
4 地域と連携して避難訓練を行う
放課後の災害は、児童の安全確保が難しい。昨年から、PTA地域委員の協力で、学校と地域が連携し、避難訓練を行っている。各避難場所の情報が学校に集約できるようにしている。また、学校から職員が避難場所へ行けるよう林道や畑道の使用について、町内の承諾を得ている。
5 防災学習を行う
自分の命は自分で守る。これが原則である。学級裁量、総合的な学習の時間を使って、防災学習を行っている。災害や被災の知識、恐ろしさについて正しい理解を与え、防災の意識を強くするようにしている。低学年の中には、恐ろしさに敏感な児童もいる。個別の配慮が必要である。
今後、学校総合防災計画は県防災教育プログラムの方針に沿って、見直し、改善を図っていきたい。 |