1 学校づくりは,防災から
校長は,「子どもを守り,学校,職員を守る。」それが第一の使命であると先輩校長から教えを受けた記憶がある。日常的な学校事故はもちろん,自然災害に対しても,その事前の予防措置や施設管理,対応については,万全を期すべきものであり,命を守ることにつながる。安全,安心な学校こそが子どもたちの学びの場となる。
2 学校と地域を結ぶ鍵は防災
磯部小学校区は,海に面しており,背中は山を抱えている。そのため地震による家屋の倒壊,土砂崩れ,落石,そして津波被害があり得る。そこで必要な防災教育は何か。地域(学校)に属する一人一人の防災意識を向上させることだけで良いのか。地域全体の防災力を高める必要が無いか。実際に東日本大震災の際には,岩手県釜石市東中学校が防災教育を十分行っていたために生徒の命を災害から守ることができたと言われている。防災教育を通して地域コミュニティの結びつきを強めること,地域の防災力を上げることができると考えられている。だからこそ,地域とともに防災教育を行うことは,子どもはもちろん,全住民の命を守ることにつながる
3 地域と防災教育
平成29年度から本格的に活動してきた磯部小学校のコミュニティ・スクールと磯部地区協議会が協働(共催)し,地区住民と防災を学ぶ・考える「みんなの防災」を行った。中越防災安全推進機構の野村氏を迎え,講話,六つのグループによるグループワーク。その後,グループごとに防災備品(筒石区の自主防災組織の備品借用)を実際に使ってみる体験コーナーを実施。
グループワーク課題「おにぎりが7個あります。子どもが7人,大人が8人います。どうやって食べますか。」話合いでは,「半分とか細かくして食べる。」「大人が我慢する。」「ばらばらにする。」などのアイディアが生まれた。たくさん出た中で,「一つにまとめ,おじやにして食べる。」という発想には目から鱗だった。どんな方法でも良く,「避難してきたみんなで話し合い,ルールにすれば良い。」と野村氏は話された。防災教育は命の学習。大人も子どもも同じ命。避難する立場は同じである。同じ空間で学び,考え,行動したり体験したりすることで,より良い方策が見えてくる。
今年に入り,大きな地震が村上地方を襲い,県全域の海岸線に津波注意報が発令された。いち早く町内会長と連絡を取り,状況把握と待機対応を迅速にできた。当地域は幸い何事もなくほっとした。地域が頼りである。 |