当校の全校児童は51名であり,3・4年,5・6年が複式学級である。小規模校ならではの良さを最大限生かしながら,「美守だからできる」教育活動を展開している。
1 自助を学ぶ
一昨年まで行ってきた縦割り班による関わりを深め合う体験合宿を,昨年度,防災教育の視点を組み入れて「白山防災合宿」として実施した。「新潟県防災教育プログラム」の自校化を意識し,平成7年上越地方を襲った集中豪雨7・11水害による当校周辺地区の被災状況をふまえて,学校脇の一級河川が決壊し浸水のため帰宅困難になったという想定にした。ライフラインはいずれ途切れるかもしれない。食料は学習で収穫した米,育てた大豆で作ったみそ,備蓄されている防災食のみ。この状況下で,安全で少しでも快適に過ごすために,どうしたら良いかを自分たちで考えて行動することや,災害時に役立つ知識や技能を,仲間と関わり合いながら身に付けることをねらいとした。
防災合宿を含む防災学習で学んだことを,秋の学習発表会で保護者や地域の方に発表したり,「防災かべ新聞コンクール」への応募や「こども防災未来会議2015」に参加し,発信したりしたことが学びを確かなものにした。
2 共助を目指して
年間の活動を振り返り,自らの命を守り抜く主体的な行動力を育成するために,以下の2点が肝要と考える。
1点目は,校長自らが危機意識をもって,地域や防災について学ぶことである。県内や全国の先進的な取組をしている行政区や機構,学校の体制を知り,積極的に取り入れることである。昨年の修学旅行では,東京臨海広域防災公園「そなエリア東京」を訪れた。学ばせたいプログラムや設備を有する施設である。ここでの学びは児童にとっても職員にとっても,その後の活動に大いに役立った。
2点目は,地域や関係機関との連携である。かつての水害について語られた地域の方々の話は生々しく,子どもたちが防災の必要性を実感したことにより主体的な活動として展開できた。また,中越防災安全推進機構の防災コーディネーターから事前学習や防災合宿当日に指導を受け,子どもたちの学びを一層深いものにすることができた。
昨年,5年生の時に準リーダーとしての経験をもつ現六年生は,「一番の防災は,普段から身近な人とよく話をすることです。」と明言する。自らの命を守ることは共助につながることを体得しつつある美守の子どもたちを,より確かに育んでいきたいと考える。 |