今年最初の避難訓練を6月16日に実施した。新潟地震50周年のその日である。グラウンドに避難後、児童に50年前のその時を話した。給食後にグラウンドで遊んでいた私は、あまりの揺れの大きさに両手を地面について恐怖に耐えた。揺れが収まると、安心できる場所を求めて、木造校舎2階の自分の教室に走って逃げ戻った。そこが私にとっての安全・安心の場所だったからである。「避難する力」は、学習や訓練なしには身に付かないのだ。
1 避難訓練がファーストプライオリティ
東日本大震災での、岩手県釜石市沿岸部の小・中学生のほぼ全員が自主的に高台に避難し無事だった「釜石の奇跡」は防災教育の目標となる。自ら判断して安全確保を図ることができる「生き抜く力」とは、「避難する力」である。学校にいる時、どこで何か起きたのか、どこへ避難するのが安全かを瞬間的に判断する力を育て、2次災害を起こさない安全な避難の仕方を身に付ける訓練が重要である。災害で命を落とさないための姿勢を身に付けさせる一方で、通報訓練、防災施設の点検、避難経路の安全確保等、子どもの命を守る教職員の姿勢も同時に高めていく。
2 県防災教育プログラムの自校化を急ぐ
今年2月「新潟県防災教育プログラム」が学校に届いた。自分の命は自分で守る主体的な姿勢を目指した防災教育プログラムの内容は素晴らしい。着実な自校化を目指したい。
海岸部では津波災害、山野部では土砂災害・雪災害、平地部では洪水災害、全域で地震災害が心配される出雲崎では、子どもも大人も日常的に海岸や山地を行き交っている。災害から生き延びるためには、まず避難の実行力を高める必要がある。実行力の基となる判断力と行動力を高めるため、防災教育プログラム必須学習項目の自校化を学年毎に始めた。1学期に地震・津波災害編、2学期に洪水・土砂災害編、3学期に雪災害編に取り組んでいく。
3 家庭や地域と連携した防災活動
児童の学校にいる時間帯は1年間のうちの約2割で、家庭や地域で災害に遭遇する可能性がぐんと高い。地域防災訓練と連動し、避難・引渡訓練を組み入れた防災学習の実施について、町防災係と協議しながら計画づくりを進めている。自校化したプログラムの授業参観や親子学習をした後に、家庭の避難方法を宿題にするなど、家庭や地域を巻き込んだプランが盛り込まれている。
青い海、緑の山…出雲崎の豊かな自然の恵みを享受する力と、自然災害から生き抜く力を同時に高めたい。 |