1 はじめに
教育のICT化が進められる中、多くの情報を効率的に手に入れることができ、世界中とつながることができるようになってきた。情報に振り回されるのではなく、情報を使いこなすには心の豊かさが大切になってくるのではないだろうか。そのために大切にしたいのは、豊かな体験と豊かな言葉だと考えている。
2 豊かな体験が心を動かす
私は、二年前、子どもたちが農業体験を通じて学ぶ施設(新潟市アグリパーク)に指導主事として勤務した。そこでは、野菜の観察や収穫、畑の耕起、搾乳などの農業体験、それと併せて調理体験を行う学習ができる。ここでは、明確なねらいをもって、問題解決学習の指導過程に体験を位置付け、子どもの思考を深める工夫をしている。その体験学習を通して感動や発見をし、学んだことを実感する子どもたちの姿を、目の当たりにした。「今日は子どもがとてもいい表情をしている。」という引率職員のつぶやきや、「給食を大切に食べるようになった。」という声も多く聞いた。充実した豊かな体験は、子どもの心を揺り動かし「やった」「なるほど」という手応えを残して心を耕すのだと実感した。
3 相手に伝わる豊かな言葉
当校では、生活指導の目当てとして、あいさつや思いやりのある言葉遣いに重点が置かれている。言葉を上手に使う力は、人との良い関係を築くためにとても大切だからだ。言葉を上手に使うには、言葉を知っていることが必要である。しかし、当校の子どもたちは、予想以上に語彙が少ない。限られた言葉でしか表現できず相手に伝わらないことで否定されたと思い込み、自信をなくしたり関係を悪化させたりしている。語彙を増やすことが心を豊かにしていく重要な一歩だと感じている。
4 根岸小学校で
果樹畑や水田が広がる地域の当校でも、農業体験を多く行っている。地域の良さを大切にし、これからも体験学習を充実させていく。また、語彙を増やし、言葉を大切にする指導に継続して取り組んでいく。豊かな体験と豊かな言葉で、子どもの心を耕し、自分に自信をもって前に進む心豊かな子どもを育てていきたい。
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