1 はじめに
我が校に地域教育コーディネーターが配置されてから5年目になる。年間約200名の地域住民が教育活動に参加して学校への親近感を高め「我が大淵小」の意識をもっていてくださる。子どもたちも見知った地域の方が増え、放課後や休日でも言葉を交わすなど、地域に親しんでいる。
2 我が校区、我が市、我が県、我が国へ
地域とのつながりが強まることで、「我が大淵はいい地域だ」と思う子どもに育てばいいのだろうか。否。地域を知り、多くの人々の思いを受け止めていく中で、自分の家や学級などの狭い意味での「我がこと」から抜け出し、町を、市を、県を、国を「我がこと」として受け止める心を育てていくことが重要である。つまり、自分の町・市・県・国であるという実感を伴った学びや体験を重ねていくことが大切なのだと考える。
そこで、学区内外を問わずに活動のステージを広げることと、子どもが「我がこと」と実感できる本物体験を充実させた教育活動を展開している。
3 本物体験で 世界を広げる
4年総合的な学習の時間「大江阿賀のその流れ」では、阿賀野川河川事務所の方からご指導いただき、パックテストでの水質検査、透明度測定などを行った。専門的な知識をもとにした説明に、引率ボランティアとして同行された地域の方々も勉強になったと感心されていた。クラブ活動では、長岡高専の出前授業「熱気球のくじらぐも」の成功を子どもと一緒に喜ぶボランティアの姿があった。子どもにとって「よくわからないよその町」だった長岡市は、「熱気球を教えてくれた長岡高専の先生がいる町」に変わった。
これまで、ややもするとボランティアやゲストティーチャーは地域住民だけに偏りがちであった。しかし、地域の方から教わる体験活動から、地域の方と共に学ぶ体験活動への転換を図ることで、新たな世界が広がっている。
4 おわりに
大淵の子どもは、新潟市の子どもであり、新潟県の子どもでもある。地域・家庭はもちろん、様々な機関や団体の協力を得て、「社会総ぐるみの人づくり」を進め、広く、大きく、豊かに心を育てることができれば嬉しい。 |