1 はじめに
やさしくて頑張りがきいて、素直でたくましくて、謙虚で言うべきことはちゃんと言える、そういう人間に育てたい。玉川学園の創始者小原國芳は「人生の最も苦しい、いやな、辛い、損な場面を真っ先に微笑みを持って担当せよ」と教えたが、そうできるところの人間を育成したい。そういう人間は信頼され大事にされるだろうし、かけがえのない自分の人生をよりよく生きることができるのだろうと思う。私は、健やかな心がそれを実現する根本であり、その堅固な土台の上にそれは実現することだと考えている。
2 健やかな気持ちは健やかな気持ちが育む
健やかな心をどう育むか。勿論根本は家庭であるが、学校もまたその任を担っている。やっぱり健やかな心の持ち主が子どもの心を健やかに育むのである。教職員一人一人の健やな心が子どもの心を健やかに育むのである。
心の健やかさは他から与えられるものではない。そうであろうとする一人一人の努力が健やかな心にするのである。そう努力することが学校を快い場所にする。それは校長の重要な任務であると考えている。
日常、職員は教科指導に学級経営に、学校事務に学校用務に、学校保健に学校管理に力を尽くしている。力を尽くしているから必ず事実が生まれている。取組の成果が生まれている。それを探し出して伝え返していくと、どの職員ももっている力を伸びやかに発揮するようになる。一人一人の取組の勢いが増す。お互いにその影響を受け合い、与え合うから学校全体の力が増す。
人は認められると嬉しくなるようにできている。嬉しくなるとがんばるようにできている。「どれ、じゃあもうひとがんばりしてみるか」と肩の力を抜いて思える心。健やかな心とはこういう心だと思う。
3 それには職員に取組の成果を伝え返すこと
私は校長になってからこれまで、職員の取組の成果を日常の出来事の中に探してきた。探して見つけ出してそれを校長便りで伝えてきた。見つかったから校長便りを書くというのではなく、毎日、校長便りを書くために探し出してきた。見つけた職員の取組の成果が些細であればあるほど、それを見つけることができた目を持っていることを密かに喜びながら書いてきた。力を尽くして取り組み、その取組の成果を喜ぶことが何より自分の心を健やかに保つことになると自覚する職員集団になったと自画自賛している。伸びやかな子どもたちの姿を目にし、つくづく健やかな心は健やかな心が育むのだと思う。 |