1 はじめに
「下越の谷川岳」とも称される御神楽岳を南方遥かに、その前方間近に県の自然環境保全地域指定の月山を望む。福島県境までの広い地域が校区で、山間各地に分散する集落は 23 を数える。豊かな自然環境とそこに暮らす地域の人々の思いを深く学ぶことで郷土を愛する心を育てたい。
2 地域の環境資源をより有効に活用する視点を
離村した集落の廃田を整備した「たきがしら湿原」が校区内にあり、全校で自然に触れ合う「全校ウォーキングスクール」の場として活用してきた。しかし、より有効で継続的な関わり方を目指し、改善に取り組んだ。
自然へより能動的に関わらせるために、周辺の山道を歩く3つのコースを組み合わせて活動させることを提案した。初めて取り入れるコースのため、職員は4回ほどの下見をした上で、縦割り班がそれぞれの選択で活動できるように工夫した。職員は、1年生を励ましながら急登を上がる6年生の様や、山中ですれ違った班同士で楽しそうにハイタッチする姿などに、自然の中で精一杯活動することは豊かな心の育成の上でも効果があることを実感していた。
また、環境保全の視点でたきがしら湿原を観察することを6年生担任に勧めた。「学校の池にその環境を再現するにはどんな配慮が必要か」「校区内の他の地域でもゲンジボタルなどの保護活動が行われているが、身近な自然を守るために自分たちに何かできるか」といった意識を高めていた。
3 環境教育全体計画の整備を進める
他地域から通勤し、勤務年数も短い職員が多いこともあり、各教科で学習する内容や学年間の関連性を明確にした環境教育全体計画の整備が急務であると感じた。
そこで、職員研修として地域素材の洗い出しをし、学校支援コーディネーターを交えて、その有効性や学年間の系統性を検討した。今年度の実践を踏まえ、また保護者や地域の有識者からの情報提供を広く求め、構造化を図っている段階である。「国指定の天然記念物『野中桜』の調査を広げ、校区内各地に残る巨木や天然林への地域の人々の思いを知る」「学校の暖房をまかなっている、地域の間伐材を利用したペレットボイラーを基に、持続可能なエネルギーの利用とその課題について調べる」「地域に散在している湧水の調べ学習を、生活科や理科と関連付けるには」などといった、身近な素材を取り入れた計画がまとまりつつある。
興味をもって関わり、学び、探究する意欲を高めることで、ふるさとに愛着をもって暮らし続ける子を育てたい。 |