1 はじめに
総合的な学習の時間については、課題が整理され学習指導要領で改善が示された。学校運営協議会制度の開始に伴い、これらを一体的に捉えた教育課程の柱となる学びの創出が求められている。
当校は、SDGsの5つのPからProsperity(豊かさ)とPlanet(地球)に焦点を当て、教育目標「未来を創りだす子ども」に直結したカリキュラムづくりに取り組んだ。
2 地域活動から学校・地域協働の学びへ
総合的な学習の時間のテーマを「未来の五十嵐の街づくりに参画する」とした。当地域では、長らくボランティアによる環境保全活動「五十嵐浜海岸清掃」「保安林の整備」が行われてきた。これまで、児童に協力が呼び掛けられ、一部が参加していた。この取組への地域の人の思いに寄り添い、地域と学校の協働の場となるよう教育活動の改善を目指した。
見直しに当たり、各学年の暦年の年間計画と六年を通した歴年の年次計画のマトリックスで俯瞰し、他の単元・教科と関連が図れるよう検討した。
具体的には、地域の成り立ちを追究する三学年、日本海からSDGsを推進する四学年、地域の保安林「清心の森」を舞台に環境保全に取り組む五学年、防災の視点から街の発展に向け発信する六学年と各学年の重点を構成した。
3 環境教育最重点「夕日ラインプロジェクト」(四学年)
美しさを心に刻み、美しさを希求する心を環境教育では育みたい。当校の目前には日本海が広がり、「日本海夕日ライン」は新潟随一とも言える景観を誇る。a
四学年の「夕日ラインプロジェクト」を環境教育の校内最重点とした。子どもは、三学年での地域の学びから美しい砂浜に目を向ける。砂浜の様子から清掃活動を発想し、校区を越え日本海夕日ライン沿線の近隣校との交流へ発展する。年間数回行われる交流を契機とし、子どもは自らの課題意識と追究意欲を高める。単元途中や終末では互いに成果を称え、学びを深め広げる姿に繋がっている。
その後この学びは、食や農の学び、保安林「清心の森」の学びへと深められる。中学校区を越えた街づくりへの参画は、意識の広がりと深まりに効果的であった。
4 おわりに
数十年の後、大人になった子どもたちが美しい砂浜を整備しながら、かつての学びをふと思い起こす。そんな姿が見られることを夢見ている。未来は今始まっている。
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