一 はじめに
特に西暦二〇〇〇年以降、国際的な動向や学習指導要領改訂による内容の充実などを受け、環境教育がクローズアップされてきました。今やどの学校も、教科、総合的な学習の時間、特別活動等において、直接的にまたは他の学習内容に関連付けて環境教育に取り組んでいます。
ところで、自校で実施している環境教育は、今求められている目的や内容に合致しているでしょうか。三つのチェックポイントに基づき、検証してみましょう。
二 チェックポイント
(一) 「環境問題教育」に陥っていませんか?
環境問題という負の部分だけを取り上げて学習している実践例を見ることがあります。環境問題を扱うこと自体は否定しませんが、それだけでは不十分です。環境問題は環境教育の一部でしかありません。環境問題以外の内容についても積極的に取り入れることが必要です。もう少し視野を広げ、自然の素晴らしさや、それに関わる人間の営みなども含めた学習内容が求められています。
(二) 「持続可能な開発」を意識した取組になっていますか?
環境問題を強調した教育だけを進めると、最終的には「地球環境を守るためには人類を排除すべき」という極端な思想に行き着く危険性があります。人間の存在を否定する活動は、もはや教育とは呼べません。そうならないためのキーワードが「持続可能な開発」です。「人間も含めた自然や生態系をどう考えていくか」「現世代のニーズを満たしながら次世代のニーズも満たすにはどうすればよいか」といった学習の方向性が求められています。
(三) 「体験的な活動」を重視していますか?
「ゴミをポイ捨てしてはいけないことは知っているが、ついついやってしまう」という経験はありませんか。理論は分かっているが、感性がついていけてない事例の典型です。感性を育てるためには、体験的な活動が不可欠です。野外に出て、「理屈抜きに自然を満喫する」「積極的に動植物に触れてみる」といった時間は確保されているでしょうか。理論学習と体験活動をバランスよく組み合わせた指導計画が求められています。
三 終わりに
自校の、特に「総合的な学習の時間」や「特別活動」の指導計画で、環境教育に関わる部分を洗い出し、チェックしてみることをお勧めします。併せて、教育計画の環境教育全体計画の内容も確認するとよいと思います。 |