1 はじめに
私が高校生の時のことである。自転車で世界旅行していたカナダ人の青年と出会い、勇気を出して話しかけてみた。私のつたない英語でしばらく会話をした後、「将来、あなたは何になりたいですか。」と聞いた。その青年は、「オウ、アイドンノウ!」と言った。両方の手の平を上に向ける、外国の方がよくやるあのポーズとともに。「今は、世界中を旅して、その後でゆっくり考えるのさ。」というようなことを言った。漠然とした将来像に悩み、自分の内面ばかりみていた18歳の私には、衝撃的な一言だった。この経験は、私の国際理解の第一歩だったように思う。
2 自分が学んだ英語との比較
当校には、英語専科の教員がいる。いつも授業に笑顔がある。子どもたちはいつも楽しそうに英語を学んでいる。このことは、私の中学校時代の英語の授業とは様相が違うと感じている。もちろん、当時も楽しい英語の授業はあったと思う。しかし、私の記憶では、教科書に書かれていることを大きな声で読み、丁寧に書く。時々先生から英語で質問され、緊張感をもって答えていた。単語や構文を必死に覚える毎日。そんな記憶が多い。そこに自分や友達の笑顔はどれだけあっただろうか、少し疑問である。
3 外国語・外国語活動で大切にしていること
英語専科教員は、授業をとおして、子どもたちに、外国語が身近なものであると感じてほしいと願っている。また、そのために、次の3点を意識して授業に取り組んでいる。
(1) 子どもたち自身や、子どもたちの生活と関係のある題材について扱う。例えば、お菓子のパッケージからアルファベットの学習を始める。(4年)
(2) 他教科で学習した知識や、これまでの生活経験を活用できる場面を設定する。例えば、ヘボン式の学習に都道府県名や新潟の市町村名を取り入れる。(5年)
(3) 学習の目的をはっきりさせ、達成感を実感させる。例えば、外国人観光客に新発田市の魅力を紹介するために、ポスターを作成、共有する。(6年)
4 終わりに
外国語活動及び外国語科の目標は、コミュニケーションを図る素地及び基礎となる資質・能力を育成することである。そこに、楽しさや、笑顔、聞きたい、知りたい、伝えたいという主体性は必要不可欠であろう。やがて、自分の内面から広い世界へ視点を広げ、大きく羽ばたいていく子どもたちを育てていきたい。
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