1 日頃考えること
外国語習得に有効な手立てとしてよく言われるのが、「その外国語を母国語とする土地に住む」というものがある。昔、ネイティブの方に「英語を習得するにはどうしたらいいか」と質問をしたところ、「朝起きて窓を見たら、『窓だ』と思うのではなく、無意識に『Window』と思えるほどどっぷりと英語に浸かること」と答えていたことを思い出す。また、私の家族はオーストラリアへの短期留学から帰国した際、日本語での言い表し方をすぐに思い出せなかったという。脳内で英語を一旦日本語に変換するのではなく、英語を英語のまま理解する「英語脳」になっていたとでも言えばいいのだろうか。日本語に翻訳することなく外国語を浴び続けるのがよいという考えから、ALTが英語で指導しているのは、今ではどの学級でもよく見られる光景である。
さらに、子どもの主体的な学びを如何に促すかが課題であると考える。外国に住んだとしてもただ漫然と暮らすのではなく、英語でものごとを考え表現しようとする意欲とそのように促される環境が外国語習得には必要であろう。
2 主体的な英語表現を促す教育活動
これらを踏まえると、外国語活動・外国語の指導においては、外国語をたっぷりと聞き、まねして話す場に身を置くと同時に、外国語を主体的に使う必要がある場を設定することが有効であると考える。特に後者に関して元小学校英語専科の渡辺智美氏(現新潟大学佐渡自然共生科学センター里山共生研究部門 特任助教)の実践を以下に紹介する。
(1) 英語による学校紹介の動画撮影
1 韓国の公立学校児童が自分の学校を英語で紹介する動画を視聴し、意欲を高める。
2 自分たちの学校をどう紹介するのか考える。
3 グループごとに動画を撮影する。
4 他校の学校紹介を視聴し、メッセージを交換する。
(2) 外国語をテーマにした自由研究
児童が自分の興味関心に基づき設定したテーマ例
・職業を英語で表そう/・各国の国旗の意味/・日本とアメリカの学校の違い/・外国の顔文字
私自身、ALTと食事したり、自宅に招いたりすることがある。辞書やスマホを片手に他愛もない会話をするのは楽しい。これも主体的に学ぶことになっているのであろうか。ただ、それらのツールを使わずに英語表現を教わりながらの方が会話をより楽しめているような気もする。こちらは対話的に学んでいるということになるのであろうか。
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