昨今、めまぐるしい変化や忙しさから、日々の生活に余裕がなく、走るように過ごしている気がする。実際、学校でも「すべきこと」が多く、保護者や地域と一緒に「したいこと」に取り組む難しさを感じることがある。
しかし、現代の子どもたちを見ていると、いろいろな面で心配な言動があり、今こそ「何とかしなければ」という気持ちが私の中で強くなっている。
1 「問題発生」こそ発想の転換に
当校の学区には、布施谷川という川がある。そこには、地域の方々が大切にしている桜並木があり、子どもたちとひまわりを育てる活動も行っている。しかし、数年前雨でひまわりが全滅したことをきっかけに、「もっと育てやすい場所に」と校門近くに植えることにした。すると、すくすく育つひまわりが身近な存在になり、どの子も一生懸命世話をするようになった。また、川の氾濫を防ぐ堤防に花を咲かせ、より美しい場所にしたいという願いを聞き、子どもたちも地域の良さを強く感じるようになった。今、ひまわりロードは当校の自慢の一つになっている。
2 手応えを感じる活動で連帯意識を
「挨拶が飛び交う地域」をめざし、中学校区全体で挨拶運動を実施している。しかし、学校で挨拶する子が外に出るとできないという実態が見えてきた。そこで、地域とふれあう機会を意図的に設定した。防犯パトロールとの交流会では、ゲームや握手をする中で、顔なじみになった。生活科や総合的な学習では、多くの方から参加いただき、交流を深めている。一方、地域の方々は、育成会などで挨拶を活発にする方法を話し合い、自ら挨拶ボランティアとなり、進んで声をかけてくれるようになった。すると、「最近、自分から挨拶する子が増えましたよ。」「笑顔で話しかけてくれるのがうれしいですね。」と、子どもの様子を報告してくれることも多くなり、変化しているという手応えを皆で感じ、連帯意識を強めている。
保護者も地域も、子どもたちの健やかな成長を真に願っている。しかし、何をどうすればよいかが分からずにいる。それを示せるのは、学校である。目的や価値、協力してほしい内容など、取組のコンセプトをしっかり説明することで、初めて同じ目標に向かう集団を作ることができる。
今、学校・保護者・地域による夏祭りの準備が着々と進んでいる。今年度は中学校区全体の防災訓練も行う予定だ。どれも学校だけではできない。家庭や地域の力があってこそ実現する。その有り難みを学校は忘れてはいけない。 |