当校の児童のトラブルの多くは、些細な言動が発端となっており、人間関係形成能力の育成が急務である。さらに、人権に対する意識の低さに起因するいじめは根が深い。表面的には解決されたように見えるが、対象者や様態等を変えて再発している。いじめなど、生徒指導上の問題解決では、もちろん即時適切な対応と指導が重要である。しかし、真の問題解決には、継続的で積極的な人権教育を基盤とした意図的な活動が最も重要であり、必要不可欠である。
1 「心の学習会」
道徳、縦割り班活動や行事などで実施してきた人権学習や人間関係づくりに係る取組を、「心の学習会」としてまとめ充実させると同時に、年間計画に位置付けて、意図的・継続的な教育活動を展開している。さらに、内容と関連を一覧で見ることができる視覚的カリキュラムを作成している。25年度は年間10回。取組は次の通りである。
- 「今の自分を見つめてみよう」意識調査*学級(4月)
- 「みんなちがって、みんないい」*学級(5月)
- 「体育大会の振り返り」メッセージ交換*縦割班(6月)
- 「特別支援学級を知ろう」*学級(6月下旬)
- 「道徳授業公開」フリー参観日*学級(9月)
- 「遠足の振り返り」メッセージ交換*縦割班(9月)
- 「命の講演会」*下学年「読み語り」*上学年「講演会」
- 「仲良しゲーム集会」仲間づくりゲーム*全校(10月)
- 「豊原「ハート集会」学びの実践発表*全校(11月)
- 「自分の心、成長したかな?」意識調査*学級(12月)
遠足の準備は6月に始まり、子どもたちは7月から活動に入る。遠足は9月。メッセージ交換は1時間で終了するが、それまでの遠足に係る活動全てが「心の学習会」なのだ。
2 職員の意識改革
問題行動等への対応にのみ留まっていては、真の生徒指導にはならない。この点を強調し、毎年職員研修を実施して、意識改革を進めている。研修では、第一に、特にいじめなどの問題は、人権意識の向上無くしては解決できないこと。第二に、組織で活動する具体的対応方法について、演習を交えて学んでいる。意識を転換し、「いじめの報告件数は、発見し対応している私達の努力の証。0の時こそ見逃しがないかと反省する時」を合言葉にして、全校体制で取組を進めている。
学校も社会も人との関わりで成り立つ。「心の学習会」を基軸にして、望ましい人間関係づくりを進めるため、保護者だけでなく、地域の力も得て、今後も実践を継続する。 |