複雑化・深刻化する生徒指導上の諸課題を解決するためには、校長をはじめとする校内の教職員や、スクールカウンセラー等の外部の専門家が連携し、学校として組織的に対応することが極めて重要である。
1 はじめに
生徒指導提要では、発達支持的生徒指導の充実が求められた。これまで同様、特定の子どもに焦点化した指導は必要としつつ、問題行動等を未然に防止するために、全体の子どもに対して行う指導の大切さが示された。分かる授業づくりや支え合う人間関係づくりなどの充実がその中心となるが、校長としてはそれ以上に危機管理的な意識が働く。
2 ズボン下ろしの経験から
「ズボン下ろしについて担任の先生方に指導してもらった方がよさそうだ」ふと思ったその日にズボン下ろしの報告を受けた。勘のようなものがあったのだろうか。
また、新年度早々、様々な行事等で慌ただしくしている時期、1年生でズボン下ろしの事案があった。1年生に聞くと、小学校入学以前にズボン下ろしの指導を受けたことはほとんどなかった。悪質性はないと思いつつも、事実として受け止めなければならなかった。
事案が起きたときの後手の指導はあるものの、先手を打った指導の必要性が再発防止という点で心の焦りとなって大きくなった。
そこで、生活指導部に働き掛け、問題となる事案の有無に限らず定期的に指導する場を位置付けるとともに、1年生に対しては入学直後に指導の場を設けるようにした。
3 ウラ指導計画の作成
先手を打った指導をし、未然に防ぎたい生徒指導事案はズボン下ろしに限らないと考え、思いつくままに洗い出してみた。刃物持ち込み、ネットの書き込み、万引き、道路への飛び出し等…。このような指導は長期休業前にきまりとしてまとめて指導されることが多い。意義は感じつつも不十分さも感じた。「~してはいけないよ」と、朝や帰りの会で一言伝えてもらうだけで違うと考えた。
まずは、自身の手帳で学級指導を依頼するための年間計画を作ってみた。漏れなく、ある程度の計画性をもちながら、その時々の子どもたちの様子を踏まえて時期や順番を変更できる柔軟性も考えつつ。
ところが、あれもこれもと、心配し始めたらきりがないのも校長。書き出した多くの指導事項をどう精選するか、新たな悩みに葛藤の日々である。
4 おわりに
今後も、危機意識をもって生徒指導を行っていく一方で、「起きる時は起きる」「その時の対処を誤らない」といった構え、力量を高めるよう研鑽していく。
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