1 はじめに
生徒指導提要が令和4年に12年ぶりに改訂され、「課題がどうすれば起きないようになるか」という点に注力することがますます重要視されている。子どもたちの多様化が進み、様々な困難や課題を抱える児童生徒が増える中、学校教育には、子どもの発達や教育的ニーズを踏まえつつ、日頃からの積極的な生徒指導が求められている。当校では、昨年度の反省から、「情報収集と共通理解」と「ケース会議とチームとしての支援」の二つを重点に取り組んでいる。
2 教育相談部による情報収集と共通理解
昨年度の反省として、問題や課題が発生した場合、該当学年と管理職を中心として対応していることが多く、職員間の児童情報の共有度が低かった。そこで、生活指導主任、養護教諭、特別支援コーディネーターによる「教育相談部」を分掌に位置づけ、毎週月曜日に児童及び職員の情報を整理し管理職に報告するとともに、児童情報をファイル化し職員に回覧することにした。これまで児童情報は、学習支援員にまで伝わらないことが多かったが、このファイルの回覧によってそれが改善された。職員情報は、指導に悩んでいる職員がいないかを早期に察知することを目的としている。過去には、若手職員が悩みを相談できずにいて課題解決に時間がかかる、保護者対応などで心にダメージを受けることがあった。それらを防ぐ有効な手立てとして職員情報を管理職と共有している。そして必要であれば積極的にスクールカウンセラーに繋げている。また、毎週木曜日に「職員終会」を実施し、時間をかけて各学級の児童情報を共有している。
3 ケース会議とチームとしての支援
課題解決のプロセスとしてケース会議の実施とチームとしての支援を行っている。担任や学年部で解決が困難な課題の場合、教育相談部と管理職、関係職員でケース会議を開き、次の実施サイクルを回していく。①情報収集・分析②課題の明確化・具体的な目標設定・役割分担③具体的なチームとしての指導計画の立案(誰が・いつ・なにを・どのように)④チームによる指導・援助の実施⑤評価の実施である。課題が解決しなければ新たなケース会議を実施していく。なお、この①~③ではホワイトボード等で情報を見える化し、具体的な指導計画を検討している。
4 おわりに
生徒指導は未然防止に尽きる。それには、生徒指導体制の確立とともに学校教育の目標の 実現が不可欠である。多様性を理解し、主体的な学習者として未来を切り拓いていく児童の育成にさらに尽力していきたい
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