素直で純朴な73名の当校児童は、私の自慢である。
登校時、先頭の班長は後ろの低学年の歩みを気にして、時々列を振り返り、声をかける。玄関前では、さわやかな挨拶が幾度となく飛び交う。ランチルームでの全校給食、最初の10分間は静かに食べるので残食は毎日ゼロ。片付けも協力して行い、ゴミ一つ残さない。様々な基本的生活習慣が定着し、校内には落ち着いた雰囲気が感じられる。
反面、固定化した人間関係と刺激の少ない中で生活しているためか、自己表出が苦手で、自分に自信がもてない児童も目立つ。一人一人の児童に、より確かな社会性を身に付けさせ、自信をもたせることが課題である。
1 基盤は「伝統を受け継ぐ」と「認める・誉める」
前述のように、当校児童は「当たり前」の行動様式が伝統として受け継がれている。入学間もない1年生も、上級生の姿を見て、スムーズに学校生活に適応していく。集団が個を育てる姿を随所で感じている。校長として、このよき「伝統」を守り、受け継ぐことが重要と考えている。
そこで、職員に対して「当たり前」に思えることも、実はすごいことだと児童に伝え、称賛し、自信につなげようと働きかけている。さらに、各種の教育活動を展開する中で、多面的な児童理解に努め、一人一人のよさを認め、誉めることで、自己有用感の高まりを目指している。
2 「かかわり活動」の充実・改善
様々な人と関わる場を意図的に設定し、人間関係づくりの能力を計画的に育てている。校内では、学級づくりを基盤にしながら、縦割り活動を学校行事や児童会活動に数多く取り入れ、豊かなかかわりを実現している。また、異学年の交流活動を教育課程に位置付け、実践を重ねている。
校外に目を向けると、隣接する保育園の年長児と1年生が計画的に関わっている。3年生は、近所の老人福祉施設を定期的に訪問し、顔の分かる交流を続けている。学習ボランティアを通して、地域との関わりも広がっている。
こうした関わりを通し、他者と積極的にコミュニケーションを図り、互いを認め合い、支え合う関係を育てている。
3 幼・保・小・中の連携
塩沢中学校区には、幼稚園・保育園、小中学校が合わせて19校園ある。教育に携わる全ての教育機関が連携して、各種の取組を推進している。今年度は、UDLに関する研修を行っている。また、小中学校が連携して、生活と学習の共通ルールを設定した。塩沢地区全ての子どもが、輝く「15の春」を迎えられることを願っての取組である。 |