1 はじめに
当校は,十日町市の山間部に立地する児童数10名の極小規模校である。学級数は複式3学級であり,特別支援学級の設置はない。しかし,通常の学級に在籍しながらも,学習の定着が芳しくない児童や,今年3月の長野県北部地震により心のケアを必要とする児童等,特別な支援が必要な児童が数名在籍している。そこで,極小規模校の利点である職員の目が全ての児童に行き渡りやすいことを生かした取組を,全職員で確認しながら日々推進している。
2 県Web配信診断間題の全職員回覧の実施
県のWeb 配信集計システムの診断問題は,実施後に採点を終了した問題用紙そのものを,県全体の集計結果及び担任の分析とともに全職員で回覧している。これにより,全職員が診断問題に取り組んだ全児童の基礎学力の定着状況を把握し,その後の取組(授業,補充学習,個別学習等)に努めている。回覧する問題用紙等は僅か数枚であり,回覧に要する時間はほとんどかからない。また,問題用紙そのものを回覧することで,どの児童がどんな間違いをしているのかを容易に把握することができる。次に述べる「子供を語る会」で,全職員が同じ土俵で児童の学習面での支援策を考えることにもつなげている。
3 定期的な「子供を語る会」の開催
児童の学習・生活面での様子と個別の支援策の共通理解を図るために,全職員で毎月1回「子供を語る会」を開いている。運営は特別支援教育コーディネーター(生徒指導も兼務)が務め,学級担任及び養護教諭による報告と他の職員が感じている児童の様子を挙げ,個々の児童についての支援の方向を協議している。会には,事務職員及び用務員等,教員以外の職員にも参加してもらい,教員が気付かない面を報告してもらい,多面的な児童理解に努めている。
4 市教育委員会や特別支援学校との連携
「子供を語る会」で協議した特別な支援策の中には,カウンセリングやWISC の実施等,当校職員では難しいものもある。学校で対応できないことについては,市教育委員会や市内の特別支援学校に協力を依頼している。現在,長野県北部地震により心のケアが必要な児童へのカウンセリングを不定期ながら継続しているほか,基礎学力の定着が芳しくない児童へのWISC Ⅲの実施等の協力を得ている。また,月1回の市教育センター相談員の訪問時には,児童の活動の様子を見ていただき,児童の様子についてのご意見や学校の支援の取組に対する助言をいただいている。 |