1 はじめに
新潟市は,障がい者差別解消法の制定を受けて,「障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」を今年度より施行した。これにより本格的に合理的配慮に対応しなければならな時代に突入した。
条例の基本理念に,「全ての市民が,障がいや障がいのある人に対する理解を深めるとともに,話し合いにより相互の立場を理解すること」が挙げられている。施設を管理する側の視点だけでなく,利用する側の意見を取り上げることの大切さが特筆されている。
2 合理的配慮を共に行うための検討委員会の設置
○学校施設管理側の体制づくり
昨年度より,校内組織の知・徳・体部会及び「特別支援教育プロジェクト」部会を新設した。各学年等から計8名で構成し,特別支援教育コーディネーターを中心に企画運営を行っている。条例の趣旨を共通理解し,年間3回の校内研修を行い,円滑な合理的配慮・就学支援を行っている。
○学校施設を利用する側の意見集約体制の確立
学校施設を利用する方からの意見を集約するため,第1段階として,特別支援学級在籍の保護者,通常学級の保護者から意見を集約し,校内委員会で協議した。その際,次年度入学する特別支援学級在籍の保護者には管理職が意見集約した。第2段階として,配慮を要する児童の保護者及び学校職員で合理的配慮懇談会を開催した。
3 具体的な合理的配慮の環境整備
○使う側からの改善点
「玄関の車椅子スロープはあるが,グラウンド出入りの段差解消がない」「就学時健康診断での各会場で視覚的案内・ユニバーサルデザインの配慮がない」など使う側の意見を基に,現在,合理的配慮の実践に取り組んでいる。
○学校から提供できる改善点
発達障がい等の配慮を要する児童に対して必要に応じてクールダウン室,人的配置等(合理的配慮)を行っている。児童みんなが分かりやすくするための「授業のユニバーサルデ
ザイン化」「各視点での構造化」も進めている。
4 おわりに
今年度より施行された障がい者差別解消法で改めて,特別支援教育の奥深さ,健常者の目線では気付かない配慮の無さを認識させられた。「共に生きる」の視点を大切に環境整備に心がけ,保護者と個別の教育支援計画を作成し,より配慮のある学校にしていきたい。 |