1 はじめに
昨今の学校においては,保護者対応に困り感をもつ職員が少なくない。当校においても特別な支援を要する我が子のために様々な要望を述べる保護者に対して困惑する職員がいた。私は校長として,職員に特別な支援の見通しがもてるようマネジメントを開始した。その結果,保護者との信頼関係を構築しつつある。ここでは校長としてマネジメントした特別支援教育の事例について述べる。
2 当校の特別支援教育のねらい
当校の特別支援教育の「指導の重点」は,児童の教育的ニーズを把握し,生活や学習上の困難を改善するために必要な支援を行うことである。実際には校長の指導のもと,特別支援教育コーディネーターを中心に専門機関と連携を取り,支援をしている。特別支援委員会は毎月開催し,個別指導計画の作成,取組の反省,検討をしている。
3 取組の実際-援助チームによる支援-
これまでのA 男は,学習中に僅かな間違いや分からない自分に腹を立て大声で泣き,机や壁をたたいて音を出した。当該児童は保育園でWISC 検査を受け,軽度知的障害・広汎性発達障害(またはLD)と診断されていた。
今年度,A 男の個別指導計画についてコーディネーターを中心に管理職,担任が検討した。その際,担任の熱心な指導がA 男には受け入れられないこと,保護者もその教育方針の理解が得られないことが課題であることが明確になった。そこで私はコーディネーターに「援助チーム」による支援を指示した。援助チームとは学校職員と保護者,友達,関係機関のことである。具体的には,学校職員と保護者が協力して話し合い,当該児童の支援について検討していくものである。また,必ず個別指導計画に学校と家庭の取組を明示して,保護者とともに検討した。その際,保護者の話をよく聴き,心情を理解するよう心掛けた。
その結果,A 男はまだまだ課題はあるが,前年に比べて泣きわめく回数が減り,学習に取り組む時間が長くなってきた。保護者も学校に対する信頼感を増し,快く話し合いに応じてくれるようになってきた。
4 おわりに
保護者・地域から信頼される学校をつくるためにも,課題をもつ児童の特別支援教育をどのように推進するか校長として明確にビジョンを示すことが重要である。私は校長がマネジメントする特別支援教育こそ問題解決に必要であると考え,今後も積極的にマネジメントする所存である。 |