1 はじめに
昨年の赴任当時、特別支援学級があったものの、組織的な指導体制は停滞気味であった。5月、保育園児A(高機能広汎性発達障害)の母親が強い不安や入学先の迷いを訴え来校した。入学まで頻繁な相談が続き、校長対応とした。そして、改めて、基本的な組織や体制の構築を図った。
2 前年度の取組
○特別支援委員会の機能強化
分掌に位置付けられた委員会の積極的な開催を促した。各担任からの問題行動の報告やA児の母親来校の折には委員会でも話し合い、対応を検討した。そのことにより、徐々に職員の意識や対応力が高まった。
○個別の指導計画の吟味
特別支援学級担任へ、在籍児童の個別の指導計画見直しを指示した。コーディネーターが粘り強く相談に乗るとともに、校長も適宜参加し、担任を孤立させないようサポートに努めた。作成案は委員会検討後全校で共有した。担任は、見通しをもって以降の指導に当たることができた。
○保護者との面談や関係機関との連携
入学先に不安を増すA児の母親に寄り添い、じっくり話を聞いた。また、通級指導、保育園の担当者とも連携し、より良い対応を探った。さらに、不安を組織的に解決できるよう関係者によるケース会議を提案した。最終的に当校への入学を決定した。誠実な対応の積み重ねこそが信頼関係を築き、納得のいく結果につながることを痛感した。
○全校体制による情報共有化
A児をはじめ配慮の必要な児童にかかわる対応は、都度全体に知らせるとともに、校内体制として目指す先が見えるようにした。A児入学後の組織的な体制づくりも容易になった。
○本年度の取組
特別支援コーディネーターも本来の機能を果たし、昨年度を生かした全校体制による特別支援体制が進んでいる。今後、研修会の開催などを通じ、さらに充実を目指していく。母親の不安は続いているが、1年生A児も円滑に学校生活を送っている。
3 今後の課題
就学前より、当該児童にかかる関係機関同士の連携や情報の共有が欠かせない。その上で、小中連携を通した個別の教育支援計画へつなげたい。各学校が主体的に取り組むことではあるものの、幅広く行政支援を得ることにより、より適正な計画が実現されると考える。 |