1 はじめに
当校は36年前に開校し、宅地造成とともに児童が増加してきた。現在は他地域から移り住んだ人の方が多くなるとともに複雑な家庭事情等が絡み、特別な支援や配慮を要する児童の増加が目立つ。学びを保障するために個々の児童に適正な就学を実現していくことが当校の課題である。
2 校内体制の整備と職員の力量形成
本年4月、当校は特別支援学級が3クラス体制でスタートした。在籍児童は知的学級13人、自閉情緒学級6人の計19人であった。しかし、通常学級に在籍し、個別の支援を必要とする児童が多数存在している。そこで「児童の見取り方研修」「スクリーニングの実施」「児童を語る会の定期開催」などを通して、より一層の実態把握を全校体制で進めることとした。また、「担任や保護者からの相談体制の確認・徹底」「全校挙げての支援体制づくり」「職員研修の計画的開催」等により、職員の特別支援教育に対する意識や理解、対応力を高めることに取り組んだ。
3 保護者、関係機関との連携
児童の適正就学の促進には、保護者の理解が不可欠である。かつての特殊教育のイメージへの抵抗を示す保護者も少なくない。こうした場合は、手順を踏んで焦らず保護者の心を解きほぐしていく必要がある。保護者との面談には可能な限り校長も同席し、保護者の意向を受け止め、共感しつつよりよい方向を探ることに努めてきた。また、医療機関を頼らざるを得ない時に、児童の診察に関して校長が直接、医師に緊急を要する旨、直談判することも行った。
4 現状と今後の課題
その他の実践も含め全校体制での取組の成果もあり、新たに9人(知的5人、情緒4人)が特別支援学級に校内通級を行い、学習を行うこととなった。特別支援3学級体制の中で指導するには厳しい面もあるが、児童のためとの気概と使命感をもって級外を中心に全職員で対応している。
これまで幼稚園や保育園との連携を進めてきたにもかかわらず、当校は入学後に「特別な支援を要する児童であった」と発覚するケースが大変多い。そのため今後は「特別支援教育」という視点をより前面に出して、幼・保・小の連携を進めていく必要を痛感している。幼稚園や保育園の保護者に、早いうちから小学校で進めている「特別支援教育」を理解してもらい、わが子の特性を見る目を啓発していく必要がある。そのことが「適正就学の早期実現」ひいては、「特別支援教育への偏見払拭」につながると考える。 |