1 「学ぶ」ということ
南魚沼郡市小学校教育研究会の指定を受け、学ぶとはどういうことか、この機会に考え直した。以前学ぶとは、「自分の考えを否定することだ」と、指導を受けたことを思い出し、東井義雄氏の著書「子どもの何を知っているか」を読み返した。私は改めて強い衝撃を受けた。東井氏ほど理論と実践を繋ぎ、人が学ぶということを明快に表現している実践家は少ないのではなかろうか。
「自己を否定し、新しい考えに到達する」。その子の思考がどう変わったのか、教師はどのような策をもって授業を組織したのか、授業を観る視点はそこに尽きる。
2 学力向上への基本的コンセプト
当校の授業改善で大切にしていることは、「学習意欲の育成」と「社会性の育成」の2つである。その根拠は、次の2つの必然性からである。
1つは、小学校で学ぶ喜びのある学習体験を十分にさせること。小学校で楽しく、分かる授業をたっぷりと体験しない子どもは、学ぶことの意味さえ分からないで苦痛だけを感じ、息切れて動けなくなってしまうからである。自ら学ぶ意欲や態度も到底育たない。
もう1つは、今の社会で問題視されている社会性の育成。「子どもは他の子とかかわる中で育つ」が人間の成長において欠くことができない。当校の子どもは、授業中の自己表出の意欲や行動が弱い。
自己表出の具現は、授業だけでは足りない。人間関係づくり、つまり学級が自由な発言や行動を認め合い、高め合う場になっていることが必須である。そうでないと個性的、創造的な発想や動きは決して望めない。授業づくりの基本は学級づくりなのである。
3 授業づくりポイント
授業研究を進めるに当たって重要と思われることを校内研修会で吟味し、全校体制で取り組んできた。
○子どもが学び合う、値打ちある問題をつくる。○子どもが夢中になる学習活動を組む。○スピード感のある授業を展開する。○問題の追究が深まる教師のかかわりをする。
4 教師の意識改革
授業改善は教師の意識改革なくしては不可能である。これまでの経験だけから得た授業観、学力観、児童観が改革の理解や勢いを妨げることがある。目の前の子どもを変え、確かな学力を身に付け、将来の日本を託す子どもを育てることは私たち教師にとって急務かつ重大な責任であることを強く認識しなければならない。 |