「確かな学力」とは何か。
このように問われて、これに正対して答える力は私にはない。そこで、次のような視点から書く。
一 思考を促す
一人一台、タブレットがあると学習は変わるか。確かに授業の形態は変わる。しかし、学習は変わらない。自分の考えをノートにまとめる学習がタブレットになるだけである。ノートやホワイトボード等を見せ合いながらの学習がタブレットを見せ合いながらの学習になるだけである。
子どもたちにノートや話合いなどの学び方が身に付いていればタブレットを使っても授業は成立する。しかし、タブレットが学力を上げるわけではない。あくまでも道具である。ただ、タブレットを使いこなせなければ、使う意味がない。使いこなせてはじめて、手書きのノートとは違う可能性が出てくる。基盤能力となる。その上で、どのように思考を促すか、である。学び方を使って、頭働かせ、思考することを確実に積み重ねることが、確かな学力につながる。
二 総合的な学習の時間で思考を促す
当校の教職員は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止しながら、できる教育活動を主体的に展開している。例えば、総合的な学習の時間で、三年生はヒマワリでいっぱいのガーデンをつくり「かがやきガーデン」と名付けた。なぜ、「かがやきガーデン」をつくったのか。地域の人に喜んでもらいたいからである。子どもたちは工夫し、ガーデンに何を育てるかを考え、ガーデンをどのようにデザインにするかを考え、さらに、どのようにしたら地域の人に見に来てもらえるかを考えた。
五年生は、学校の近くの水田での「米づくり」体験をやめた。学校から離れた中山間部で「米づくり」を行った。それまでの田植え、稲刈りだけの体験ではなく、一枚の水田を自分たちの水田として「米づくり」を行った。できる範囲での草取り等の世話も行い、約六か月間、「米をつくる」という意識をつないだ。だからこそ、稲刈りのとき、「がんばっているね。」と声をかけられた子どもは「当たり前です。自分たちの田んぼですから。」と答えた。
総合的な学習の時間では、どのような活動をするか、どのような人と関わるかが、それがそのまま思考と結び付く。それは、教室の中だけでは促すことのできない思考であり、外とつながるから促される思考である。このような思考を積み重ねることが確かな学力につながる。 |
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