はじめに
当校のグランドデザインの中核をなすのは、ふるさと北条をこよなく愛する子どもの育成である。校内研修は、生活科、総合的な学習の時間を中心に、「子どもが学びを膨らませる授業」の実践、考察である。その一例を紹介する。
子どもが学びを膨らませる授業づくり
某新聞で、「地域元気に 願い込め」という見出しで次のような記事が載った。「北条小学校6年生が手作りしたイルミネーションの点灯が同小で始まった。地域を盛り上げるために何ができるかを児童たちが自ら考え、制作した縦5m、横6mの大作だ。見上げるようなクリスマスツリーと文字が緑や赤にきらめき、雪で白一色に包まれた地域を華やかに彩っている」後日、地域住民から歓喜の声が届く。
「ワンピース」…6年生の総合的な学習のテーマであり、一つのパズルのピースを意味する。地域に生きる人、地域資源等(ピースに例える)について追究し、自分自身の心を見つめ直す学びを積み重ねていく。
12月、子どもたちは、「自身の成長へと導いた学びのステージ『地域』に恩返しをしたい」と立ち上がった。それが記事(前記)の内容である。子どもたち自身もまた、ひとつの「ピース」だと考えるのは、独りよがりか。
校内研修会では、「子どもはどのように学びをつくるか」を命題に、「子どもと地域とともに創るカリキュラムマネジメントだ」「評価が大事だ」「対話が鍵だ」等、学びが膨らむ要因を導出していく職員集団。そこには、子どもの姿から学ぼうとする教師の真摯な姿勢を感じる。「ワンピース」を実践する担任は、「自分の身近な世界がどんな人に支えられているのかを学び、人それぞれの考え方や生き方を追究する学びです」と語り、教師自身の成長を実感するという。その表情から私は、学びの本質を見極めようとする熱意と包容力があるような気がしてならない。
おわりに
私は、卒業式で、「皆さんは、これからきっと何度となく『大変だな』と感じる場面に直面するでしょう。『ワンピース』での学びは、自分なりに一生懸命生きようとする時に、体と心の内側から沸き起こってくるような力です。何とかしたい、と強く思う心のエネルギーにつながっていくものです」と、「はなむけの言葉」を贈った。地域を元気にしてくれた子どもたちの勇姿に敬意を表したかったからだ。
このように、「学びを膨らませてふるさとを愛する子ども」は、北条小学校の希求する姿である。
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