はじめに
「教材研究をする時間がない。」と、若手教員がこぼす。人間関係調整能力が十分に身に付いていない児童対応、困り感を抱える児童対応、不安定な保護者対応の中で、超過勤務月四十五時間以内となれば、まさに心の叫びである。
研究主題に取り組む
私たちが一番力を入れたいことは、授業づくりである。そこで、研究主題を「分かる授業で居心地の良い学級づくり」とし、学習指導と生徒指導を授業で行う。互いのよさを認め、支え合いながら「できた・分かった」を積み重ね、自己肯定感と自己有用感を高めていく。なお、「分かる授業」と「居心地のよい学級」に優先はなく、同時に行う。また、この取組は働き方改革にもつながる。
主体的な実践
研究教科を算数科に絞り、目の前の子どもが分かる、居心地が良くなるため、担任は主体的に様々な工夫をする。
〇 学習意欲を高め、全員の児童が共に解きたく・考えたくなる課題(「なぜ」「どうして」)の設定と提示
〇 授業中の児童のつぶやきを生かし、前述の課題と正対した(答えになる)まとめの提示
〇 ねらいを基にABC児ごとに、振り返りで書いてもらいたい文言を最初に想定した、逆算の考えによる授業構想
〇 意図的で目的が明確なペア・グループ活動の設定と確実な見取り。さらに、それを生かした練り合い
〇 振り返りの時間の設定と、その記述を次時の冒頭で紹介することでの前時の学習の確認。さらに、名前を発表することでの認められる喜びを感じての自己有用感の高揚
〇 ICTを活用した思考が伴った課題解決と、それを基にした集団解決
〇 スモールステップで、一つずつできた・分かったを児童が実感する授業構想
〇 振り返りカードに「自分で成長したと思うこと」の項目も入れることで、内省を促し、自分自身の成長の自覚化
〇 深い教材研究と、児童の確実な見取りの上でのプラスのフィードバック
終わりに
学力向上に決まった型(メソッド)はないと文部科学省は言っている。学び続ける教師集団による、不断の創意工夫しか学力向上はない。今後も、子どもの実態に合わせて、学習指導と生徒指導を同時に行う授業を具現する学校経営を行っていく。子どもと教師の笑顔のために。
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